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HR・人材

日系企業の人事制度構築の落とし穴 成功のカギは組織の〝意識統一〟 – 艾陸企業管理咨詢(上海)(アルー)


[ 2013-09-29 ]

日系企業の総経理に今年度取り組む最重要経営課題を聞くと、多くが「人事制度の再構築」と答える。しかし、その人事制度の構築においては「日系企業独特の落とし穴がある」と組織開発の支援を行うアルー海外事業部中国企画室リーダーの大橋徹氏は指摘する。詳細について聞いた。

―日系企業の人事制度構築には、見落としがちな落とし穴があるということだが。

bizchina1308_alue_1「当社は、組織開発支援をしている会社として、人事制度構築支援を〝1つの重要な要素〟として提供している。当社独自の調査では、重点課題だと回答する企業が75%にも上り、昨年から人事制度構築支援の引き合いが非常に多くなっている。労働法改定や人件費高騰が騒がれる中、極めて理にかなった取り組みだが、この取り組みの多くには日系企業が見落としがちな落とし穴があると考えている。

1つの例をご紹介する。人事制度構築プロジェクトの多くは、ナショナルスタッフ(NS)の部長以上が主体でプロジェクトチームが形成され、日本人経営層が要所要所で承認のために介入するという体制が多い。期間としては、半年以上のプロジェクトになる。しかしながら、開始2カ月で多くのプロジェクトが1つの壁にぶち当たる。

プロジェクト開始後、まず従業員の満足度調査やインタビューを行う。その後、人事制度の基本コンセプトを決め、人事制度の基本設計に入る。ちょうどここが2カ月経過時点になる。ここまで順調に進んできたはずのプロジェクトが、次第に膠着状態に差し掛かる。『素質があるが、まだ成果が出ていない社員。そんな社員を評価するのか否か?評価しなかったら辞められる。しかし、評価すれば周囲に対する説明が難しい』『等級を仕事基準と人基準のどちらで定義するか?』『同じ等級だが部下の数が10倍違う2人の課長。同じ給料であるべきか?』『全社業績と部門業績をどのように報酬に反映させるか?』など各論の議論が続く。誰もが正しい。が、同時に誰もが間違っている。そう、これは正解のない議論なのだ」

―この膠着状態が続くと、どうなるのか。

「こういう状況に陥ると、大きく2つのパターンが待ち受けている。1つは、各論の議論をNSが積み重ねて、人事制度のカットオーバーにこぎつけるパターンである。しかし結果として、カットオーバー後に疑問が残る。『この人事制度は、自社をどのような組織に導くのか?』『この組織の根底に流れている思想とは一体何か?』、まるでパッチワークのような部分最適の議論を積み重ねた人事制度である。その人事制度には、一貫した思想なんて存在しないのである。

2つ目は、プロジェクトチームに日本人経営層が介入するパターンだ。NSからすれば、救世主登場である。誰もが従うべき、絶対的な〝老板(ラオバン)〟。自分のポジションさえ安泰であれば、逆らう理由はない。老板が決めたことなら責任を取る必要もない。説明責任も放棄できる。忙しい日本人経営層は一時的に介入して、次から次へと頼もしく意思決定をしてくれる。これで膠着状態が解消され、無事人事制度のカットオーバーを迎える。日本人経営層から見たら、納得感のある人事制度だ。しかしNSから見たらどうか?『この人事制度はどんな思想のもと、何を大切にしていきたいのか?』『日本人が決めた人事制度。自分に説明責任はない。部下に根気強く理解を求める材料もない』。

人事制度の根底にある思想が共有されないまま、構築されたのである。その思想など知る由がない」

―こうした人事制度構築プロジェクトの行く末は?

「こんな人事制度はいずれもすぐ陳腐化する。理由は簡単だ。人事制度策定に関わったNSの部長層ですら、その人事制度の根底にある組織の思想を知らないからだ。伝えられるのは紙面上のルールだけである。

組織の思想が明確に共有・反映されていない人事制度は、スポーツマンシップの精神が共有されずじまいのルールブックのようなものである。スポーツマンシップの精神が共有されているからこそ、はじめてルールブックが機能する。スポーツマンシップの精神が共有されていなければ、誰かが必ずルールブックのあらを見つけ、自己都合のロジックでルールを破る。例えば、『部下の評判稼ぎのために活用する』等だ。

日系企業の多くは、スポーツマンシップの精神を共有せずに、ルールブック作りに躍起になっている。こんな人事制度の行く末は、混沌である」

―では、人事制度構築の成功のカギは?

「人事制度構築の成功の鍵は、日本人経営層とNSの部長層以上が、『共に目指したい組織の姿の〝共創〟』のために、〝意識統一〟のプロセスにどれだけリソースを投資できるかだ。

その確固たる例を1つ紹介する。その日本人総経理は、片言の中国語しか話せないが、人事制度構築プロジェクトの定例ミーティング(MTG)の場に毎回必ず同席する。その場は、毎回8時間近くにも及ぶ。彼はもちろん暇ではない。むしろほとんど寝ていない。その定例MTGで、彼は通訳を介しながらも、NSの部長層の考えをとにかくしつこいまでも意見を絞り出す。その上で、『われわれはどんな組織になりたいのか?』という大局の話し合いを皆でする。原点に立ち返った後に、出揃ったすべての意見一つひとつに対して、採用すべきか、見直すべきか、却下すべきかをみんなで話しあわせる。彼はこの過程を通じて、NSに〝組織としての思想の意識統一〟を行っているのである。余談ではあるが、欧米企業の中国現地法人の経営層が、最重要課題と捉え最も労力を割いているのが、組織の〝意識統一〟だという調査結果がある。日本人と中国人が混在する多様性溢れる日系企業現地法人において、多くの日本人経営層は″意識統一〟を疎かにし過ぎているのではないだろうか?」

―御社の人事制度構築支援サービスの最大の特徴は?

「当社が人事制度構築の支援をする際に、最も注意をしていることがある。それは、人事制度の基本コンセプトを策定する際に、『共に目指したい組織の姿を〝共創する〟』ために、日本人経営層からNSの部長層までを一同に集め、〝組織に対する願い〟を全員から吐き出させることである。この成功のポイントは、いかに〝安全で平等な場〟を運営するかである。実はこれが最も難しい。NSは、経営層に対して絶対服従だからだ。そのために、当社では多様性を扱うための専門技能を持ったプロを派遣し、〝安全で平等な場〟の中で、特殊なツールで『組織に対する願い』の本音を引き出すのである。このプロセスを通して〝共創〟された組織の思いが、人事制度構築の軸となり、それが組織全体に根を張るようになる」

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