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HR・人材

外資系企業が取り組み、日系企業が 取り組んでいない組織統制のカギ – 艾陸企業管理咨詢(上海)(アルー)


[ 2013-09-29 ]

GDP世界2位。GDP成長率7%台。今後も市場成長が期待できる中国市場。だが、多くの日系企業はその市場成長の波に乗り切れずにいるのが実態ではないだろうか。組織開発の支援を行う艾陸企業管理諮詢(上海)主管の楊檬氏は、「そこには日系企業ならではの経営の癖がある」と指摘する。詳しく聞いた。

―日系企業ならではの経営の癖があるというが。

bizchina1310_alue_1「当社では、年間約400社の日系企業現地法人の経営層を訪問しているが、事業成果に困っている現地法人が大半である。しかし、同一環境下でも、非日系外資系企業(以下、外資系企業)の方が事業が順調である。この日系企業と外資系企業の違いはどこにあるのか。確かに『日中問題』という要因はありそうだが、政治問題のせいにしても、状況は何も変わらない。

そこで『日系企業』と『業績が良い外資系企業』の違いに着目し、事業成果のために、日系企業が参考にすべき『業績が良い外資系企業』の取り組みを調査した。その結果、経営を『事業』と『組織』という二大要素に分けると、業績が好調な外資系企業の経営層は『組織』への関わりを通じて『事業』に関わり、日系企業の経営層は直接『事業』に関わるという構図があった。つまり、日系企業の経営層は事業成果のために『事業の舵取り』に力を入れ、外資系企業は事業成果のために『事業の舵取りを行う組織作り』に力を入れている」

―具体的には、どんな取り組みの違いなのか?

「ナショナルスタッフの視点から見た『日系企業』と『業績が良い外資系企業』を調査した結果、外資系企業に比べ日系企業の経営層は、戦略、戦術、ゴール、業務プロセス、ツールなどの『事業』に『力を入れている』とみられる。一方で、企業理念・行動指針の浸透、社員との交流、多様性の尊重、チームワーク推進などの『組織』に『力を入れていない』とみられている」

―なぜ、ここまで「組織」に対する関わり方が違うのか?

「日本は同一性民族であり、日本以外(特に欧米系)は多様性民族だからだと当社では考察している。日本では、幼少期から『世間様に迷惑をかけるな』『社会貢献しなさい』などと、画一的な価値観を持つように育てられる。そして会社に入社すると、『安全』『品質』『顧客満足度ナンバーワン』などの価値観を示す言葉に、『今さら感』『当たり前』感を持つ。『当たり前』の考え方がすでに共有されているため、『これはOK』『あれはNG』と一つ一つ細かく指導しなくても、戦略、戦術、ゴールを示せば、勝手に同じ方向に進んで行く。日本人だけで構成される組織を統制するのは、比較的容易なのだ。

日本以外では、幼少期から、多種多様な人種、宗教が混合しており、育てられ方も多種多様である。そんな多種多様な価値観を持った人々が入社すると、共通の『当たり前』は存在しない。顧客のために頑張る社員もいれば、私利私欲のために不正を行う社員もいる。だからこそ外資系企業は、事業成果に向けて多種多様な組織を統制するために、社員の価値観を統一することの重要性を分かっている。そのため外資系企業は多大な労力と費用を投じて、『当たり前』の価値観の浸透を大事にする。

そんな国籍の違う企業が、多様性民族の中国に進出すると何が起きるのか。外資系企業は、組織を統制するために、『当たり前』の価値観の浸透を徹底的に行う。日系企業は、組織統制のために『当たり前』の価値観を共有することを見落とす。これまで日本本国での成功パターンである、戦略、戦術、ゴール、業務プロセス、業務ツール等の整備を行えば、ナショナルスタッフが一つの方向に進むと考える。結果、統制されない組織となる」

―具体的な関わり方の違いは?

「具体例を挙げよう。ある欧米系企業の総経理は、年初に社員に対して20分の講話を行った。最初の10分は、『我々は、●●な企業であれば、この世の中から淘汰されるべき』という内容。次の5分は、『我々は、●●な企業であれば、この世の中に存在してもいい』という内容。それはまるで詩のように同じフレーズを繰り返しながら、淘汰されるべき自社の姿と実現したい自社の姿を様々な角度から彷彿させた。最後の5分は今年度の戦略、戦術、ゴールの話で締め括った。講話の約75%を、自社の存在意義や価値観に費やす。聴いている社員は講話に釘付けで、涙を流す者さえいた。

日系企業によく見られる年初の講話の場面はこうだ。講話時間は30分。最初の5分で前年度の結果報告および振り返り。中期経営計画に立ち返るのが5分。今年度の戦略、戦術、ゴールの話を15分。そして最後の数分で、『安全』や『品質』について、淡々と述べる。講話時間のわずか16%程度しか、自社の存在意義や価値観に費やさない。聞いている社員も淡々としており、あくびをする者さえいる。

また、ある外資系小売企業の経営層は、一人で月に200店舗を回り、現場との交流を徹底的に行う。多額の費用を投じて自社のPRビデオを制作し、自社社員に配布する企業もある。幹部研修は管理本部長や人事部長に丸投げせず、トップ自らが企画から実行まで率先して関わり、自社の価値観の伝承に時間とお金を投じる。GE元CEOのジャック・ウェルチが中心となって、幹部へのGEバリューの伝承に力を注いだように」

―日系企業の経営層は、どう関わるべきなのか?

「これらの『組織』への関わりを、『外資系企業のやり方』と距離を置く日系企業をたびたび目にする。しかしながら、外資系の『組織』への関わり方が多様性民族を統制するために必要な手段だとすると、本当に距離を置くことが日系企業にとって正しい選択なのか。日本本国では、最小限の『組織面』への取り組みで組織を統制できる。しかし、社員は中国人だ。多様性民族国家、中国である。『当たり前』の価値観を確立し、浸透させることが重要ではなかろうか。それが仮に企業理念・行動指針の浸透という、一般的に日本本社マターだと扱われるテーマだとしてもだ。事業責任を負っているのは経営層だ。事業成果のために必要なことであれば、現地法人内で完結する進め方をすれば良い。中には、日本本社に頼らず浸透を進めている現地法人もあり、このような企業に限って業績は好調である。今、日系企業の経営層は、『事業面』だけではなく、『組織面』に本気で対峙すべきではなかろうか」

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