新浪(SINA)
「微博元年」となった2011年。その最大の立役者となったのが新浪微博だ。中国のネットユーザーの好みに合わせたサービスで、ユーザー獲得に成功。今後はソーシャル化を一層推し進める。新たなコミュニケーション手法として定着しつつある微博は、企業のプロモーションツールとしても重要度を増している。
災害や事故きっかけに拡大
2011年は、ミニブログの「微博(ウェイボー)元年」と呼ぶに相応しい年となった。調査会社のアイリサーチによると、微博のアカウント数(ユーザー数)は2010年、1億6000万だったが、昨年8月には2億8000万を突破。この時点で中国のネットユーザーの半数以上が微博ユーザーとなったことになる。2011年通年のアカウント数は、対前年比でほぼ倍増の3億前後になったと思われる。
微博の急速な普及のきっかけとなったのが、昨年3月の東日本大地震や同年7月の中国高速鉄道(動車)事故だった。こうした災害や事故が発生した際、ネット上で自ら率直な“つぶやき”を発し、ほかのネットユーザーとの共感を求める人々が、こぞって微博ユーザーになったとみられる。
月次のアカウント数推移(アイリサーチ調べ)をみると、昨年2月、2億1000万だったのが、震災直後の4月には2億3000万に、6月には2億4000万、そして鉄道事故が世間を最も賑わせていた8月には2億8000万に達している。
本家を超える勢いで成長
「微博元年」の最大の立役者となったのが、中国最大のポータルサイトを運営する新浪(SINA)の「新浪微博」だ。新浪微博のアカウント数は昨年11月の時点で2億5000万を突破、1日8600万件(同年9月末時点)のつぶやきが発せられており、中国で最も影響力のあるソーシャルメディアとなっている。
06年の米ツイッターの登場以来、中国でも140文字以内のテキストを投稿する、ツイッターを模倣した「飯否」や「嘀咕」、「叽歪」などのミニブログ(微型博客)が誕生した。しかし、これら“独立系”微博は資本力などで劣り、ブレークスルーするには至らなかった。
こうした中、IT大手として最初に本格的に微博へ食指を伸ばしたのが新浪だ。同社は09年8月、新浪微博をリリースすると、一気にユーザーを獲得していく。わずか2年でアカウント数2億を実現。本家のツイッターが2億を獲得するのに5年を費やしていることからも、その勢いの凄さが分かる。
微博=ツイッターではない
新浪と前後し、チャットのQQを運営する騰訊(テンセント)やポータルサイトの捜狐、網易なども微博を開始しているが、現時点で新浪微博はこうした競合を抑え、アクティブユーザー数が最多の微博と言われている(下図表を参照)。
新浪微博のアカウント数は昨年9月末、2億2700万、一方の騰訊微博は3億1000万と、アカウント数では騰訊微博が断トツでナンバーワンだが、「騰訊微博はQQユーザーが騰訊微博のアカウントを気軽に取得できる仕組みで、アクティブ率は相対的に低い」の見方が大勢だ。
並み居る競合を抑え、なぜ新浪微博はこれほどまでの成功をおさめることができたのだろうか。先行者利益を奪ったこと、スマートフォンの普及を追い風に受けたこととともに、15年弱のポータルサイト運営で培った豊富なノウハウ、周到なマーケティングを通じ、“中国化”を図ったことが最大の理由と言えそうだ。新浪マーケティング中心総経理兼華東分公司総経理の葛景棟氏は、「新浪微博は中国のネットユーザーの嗜好、習慣に合わせたデザインとなっている」と説明する。新浪微博は当初から音楽や映像、写真などを共有できるマルチメディア対応で、リツイート(転送)が自在など、基本的なコミュニケーション方法がツイッターとはかなり異なる。
新浪CEOの曹国偉氏は、「新浪微博はツイッターとフェイスブックの混合体を目指す」と発言しており、今後もユーザー同士が出会う機会を作り、情報交換を促すソーシャル・ネットワーキング・サービスの機能を拡充する方向で、独自の発展を遂げていきそうだ。
企業の活用待ったなし
昨年10月、新浪微博のフォロワー(粉絲)数でベスト10のフォロワー数合計が、ツィッターのそれを超えた。中国最多を誇る有名女優、姚晨の新浪微博のフォロワー数(2012年1月現在で1589万)は、まもなく世界最多のレディ・ガガのツイッターを超える見込みだ。
微博は、すでに中国社会のコミュニケーションに大きな影響を及ぼしており、一過性の流行で終わりそうもない。「情報の安全管理」の問題から前途を懸念する声が国外を中心に聞かれるが、北京で施行された実名登録制度など、「自由と管理」のせめぎあいは続いても、重要なコミュニケーションツールとして定着していくと思われる。すでに公安を含む政府機関や公共交通機関が、市民や利用者への情報提供のツールとして活用を開始しており、公式的なコミュニケーションツールとして社会から認められつつある。
こうした中、企業にとってのプロモーションやマーケティングの場としての重要度も増している。すでに先進的な企業が微博活用に乗り出しており、「現在5万社近い企業が、消費者との交流や情報提供のために新浪微博を利用している」(葛氏)という。多くの企業は微博を活用する際、公式アカウントを取得するが、公式アカウントの取得代行や微博の運営代行業務を展開する企業も現れている。
微博のフォロワーを増やすのは容易ではなく、労力をかける必要があるが、消費者との接点、消費者に直接情報提供できるプラットホームとして、これ以上のメディアはいまのところない。内販に取り組む日系企業にとって、微博活用は待ったなしである。
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