Webでの情報発信は、微信(WeChat)での電子雑誌に移行しました。QRコードから
公式アカウントに
アクセスしてご覧ください。

中国ビジネス情報誌 Whenever BizCHINAから、お役立ち現地情報を発信中

※掲載内容は全て、誌面掲載時の情報です。

about_us

渉外仲裁の新しい発展方向

――公共政策による外国の仲裁裁決を拒否する際における裁決の分割執行

公共政策(公共秩序、保留条項、排除条項とも言う)とは、一国の政治制度、経済制度、法律制度および主流道徳習慣における根本的な利益をいう(1)。一国が公共政策を理由に外国の仲裁裁決(判断)の承認・執行を拒否することは、「外国仲裁裁決の承認および執行に関する条約」(以下「ニューヨーク条約」という)で認められている(2)。中国における初めての適用例は、2008年、ICC(国際仲裁裁判所)が永寧製薬株式会社へ下した裁決の承認・執行を山東省済南市中等人民裁判所が拒否したケースである。公共政策への違反を理由に、外国の仲裁裁決の承認・執行を拒否し、裁決の効力を全般的に否定したのである。

ここで検討したいのは、この適用についての正否ではない。渉外仲裁の発展方向として、外国の仲裁裁決が公共政策に違反する「程度」により、外国の仲裁裁決を分割し、一部を執行することの可能性である。公共政策への違反により外国の仲裁裁決が全般的に否定される場合、その影響は恐るべきものであるといえる。なぜなら仲裁裁決が空文と化するだけにとどまらず、仲裁の終局では「一事不再理原則」が普遍的に適用されるため、仲裁裁決の承認・執行を求める申請者が別途訴訟または再仲裁を提起することができなくなるからである。

また、「国際公共政策」は各国が共通する公共政策として精確に定義するのが至難であるため(3)、公共政策は各国が自由に解釈できるものと理解してよい。そのため、「一国が公共政策を不正当に運用した」ことを理由に、仲裁裁決の取り消しを他国に求めることさえ不可能になり、申請者を窮地に追い込むことになる。

そこで、国内の公共政策を優位に置くのではなく、ニューヨーク条約における当事者自治の原則に従い、外国の仲裁裁決を承認・執行する方向に向け、国内の公共政策に違反した内容のみを拒否する方法を採ることで、承認・執行の申請者の利益をよりよく保護できると考える。ニューヨーク条約の目的は、条約の適用範囲を広げ、仲裁裁決の執行条件を緩和し、仲裁裁決の承認と執行に利便性をもたらすことにあるため(4)、このような方法であればニューヨーク条約との行き違いもないといってよく、渉外仲裁の新しい発展方向として期待できる。

一国の公共政策と国際商事仲裁の国際化、自由化との間には、一定のバランスが存在している。公共政策の運用と当事者自治による紛争解決とは、初めから対立しているわけではない。最大限に国際商事仲裁裁決の流通力を保つことこそが、国際商事仲裁制度を発展させるのである。(つづく)

注1:「国際私法学」第118頁(丁偉編集、2004年出版)による 注2:外国の 仲裁裁決を承認・執行する公約(1958年)第5条の2による 注3:「仲裁研究」 第7期第90頁による 注4:「裁判所所在国の公共政策に違反することによる外国 仲裁裁決の分割承認および執行について」(謝宝朝、2011年)

上海市錦天城法律事務所

裘 索氏
法学博士・シニアパートナー弁護士 ・
日本国外国法事務弁護士・中国国際
経済貿易仲裁委員会仲裁員

錦天城法律事務所
【住所】上海市浦東新区花園石橋路33号花旗集団大厦14 階
【tel】021-6105-9159(日本語)
【url】http://www.allbrightlaw.com
【mail】nippon@allbrightlaw.com

人民元
 その他、為替レートは、こちらより。
やまびこ上海 ウェネバー人材 ウェネバートラベル
ウェネバーオンライン らくらくプレス