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中国税務機関が初めて収益還元法を活用

持分譲渡における租税回避防止管理を強める

近年来、中国税務機関は移転価格に対する監督管理が、これまでになく厳しくなりつつありますが、持分譲渡などの企業再編領域にはあまり及んでいません。ただし、国税函【2010】84号通達では、国家税務総局が2010年度中国移転価格の監督管理重点を持分譲渡において、租税回避防止措置を採用し、企業の租税回避行為を厳しく審査すると言及しています。これは中国が初めて税務通達の形で、持分譲渡を租税回避防止調査の新領域および新重点にすることを明確にしたものです。

直近では、大連市国税局に審理された持分譲渡案件で、初めて収益還元法という国際公認された評価法を活用して持分譲渡収益を算定しました。追及された多国籍企業は、最終的に1100万元の法人税を納付することに同意しています。この案件は、中国の持分譲渡および移転価格領域においてのマイルストーンになるものと言えます。

◆案件紹介

2010年初、海外におけるAグループ企業は米国のあるグループ企業に買収され、さらに生産組織も整合されたため、Aグループ企業の大連子会社は持分譲渡に該当すると判断しました。Aグループ企業は、取締役会にて可決された持分譲渡価格が、持分の帳簿価格とほぼ同額であるため、譲渡益はほぼゼロで、課税金額は無視できるとしました。これに対し大連市国税局は、当該持分譲渡価格は著しく低いため、独立取引の原則に相応しくなく、調整すべきと判定しました。

株価収益率指数を利用しようと試みるも、望ましい結果が出なかったため、大連市国税局は収益還元法を活用して譲渡された持分の公正価値を算出し、さらに納税額を調整しました。結果として、当該企業は2008年以後の持分譲渡価格を調整して1100万元税金を納付しました。これは、中国税務機関が収益還元法を活用して持分譲渡収益を算定した初回案件です(参照http://www.dl-n-tax.gov.cn/n1057/n3453/n3498/3151218.html)。

◆中国における持分譲渡

近年来、国際経済および中国経済の急速な発展に伴い、多国籍企業は経営、投資、税収などの方面において、持分譲渡を含む企業組織再編行為がますます多くなっています。このような背景から、国家税務総局は関連法規を相次いで公布し、企業の組織再編活動を規範化しています。それ以外にも、組織再編行為を乱用しないよう、多くの租税回避防止措置を導入しています。それらの法規は、持分譲渡を含む企業再編業務に対して税務上の法律根拠を提供しています。

財税【2009】59号では、一般税務処理(非適格税務処理)と特殊税務処理(適格税務処理)の適用条件を明確にしています。当該法規において、「特殊税務処理に適用する企業再編は、まず合理的な商業目的を持ち、かつ税金の減少、免除あるいは延期納付を主要目的にしない」と明記しています。

その後公布された国税函【2009】698号では、財税【2009】59号における非居民企業の持分譲渡の関連規定を補足説明しています。特に注意すべき点として、当該条文には「非居民企業が関連会社に中国居民の持分を譲渡する場合、譲渡価格を独立取引の原則に準じないで、税金を過少納付すれば、税務機関は合理的な方法に基づいて調整する権利を有する」とあります。

2010年1月1日より正式に実施された国家税務総局公告【2010】4号は、その前に公布された条例で明確されていなかった概念と手続きに対し、系統的な補足説明を行いました。

◆持分譲渡の公正価値の評価

上述の規定によって、企業再編は関連資産の公正価値を評価することに波及する可能性があります。その場合、企業は適正な企業所得税処理方法を確実に実施するため、税務機関に関連証明資料を提出しなければなりません。

しかし、これまで中国には各種企業の資産公正価値を、いかに評価するかを明確にした税務法規がまったくありません。

実務上、よく利用される評価方法は主に原価法、市場法および収益還元法です。ただし原価法と市場法は利用上、制限があります。例えば、原価法は企業の財務数値の品質に要求が高いこと、市場法は活発な市場および十分な市場取引価格数値が必要ですが、多くの企業はそれらの条件を満たしていません。比較して、収益還元法は国際的に公認された、実務上よく利用される無形資産と企業価値を評価する方法です。収益還元法とは、評価対象が将来得られるべき価値を現在価値に割り引きして評価する方法です。

過去の企業価値評価案件では、税務機関は第三者仲介業者に発行された評価報告書を要求します。これは税務機関が再編各当事者との商談において、不利な立場に陥ります。当該案件では、大連国税局が海外の進んだ実務経験を鑑み、収益還元法を活用して持分の公正価値を評価する過程において、3つの基本指数(評価対象の将来収益、割引率、予定収益取得までの継続期間)を慎重に評価し、さらに関係企業から最終に認可を受けました。

国家税務総局の国際税務司は当該案件を、「収益還元法」を活用して持分譲渡を調整する第一案として有意義であると評価しました。また国家税務総局は、各地税務機関が企業再編の租税回避防止問題における評価方法、特に収益還元法という国際的に公認された方法を利用することを奨励しています。

我々GrantThornton京都天華会計師事務所では、中国税務機関が企業再編、特に持分譲渡案件にて国際的に公認された評価方法を運用する意欲があり、近い将来、企業再編案件に対して監督管理および調査を行うことが最も多くなるとみています。

 

筆者

周自吉パートナー

中国で移転価格と税務顧問の分野において、約10 年の実務経験を持つ。確定申告、投資構造と税務計画、買収合併および移転価格サービスなどを含め、数百社に上る多国籍企業に様々なサービスを提供している。

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