Webでの情報発信は、微信(WeChat)での電子雑誌に移行しました。QRコードから
公式アカウントに
アクセスしてご覧ください。

中国ビジネス情報誌 Whenever BizCHINAから、お役立ち現地情報を発信中

※掲載内容は全て、誌面掲載時の情報です。

about_us

日中移転価格事前確認制度の回顧と展望

昨年11月7日に、移転価格税制に関する新しい日中二国間相互協議が日本の東京で開催されました。中国からは中国国家税務総局のエコノミスト、張志勇氏と国際司副司長の廖体忠氏、国際司反租税回避所所長の王暁悦氏等が協議会に参加しました。

移転価格に関する国際相互協議とは、締約者の一方または双方の実施した行為または実施しようとする行為により、二重課税となる場合に、双方の税務当局が租税条約の関連規定に従って協議を行い、二重課税を排除する仕組みを言います。

今回の日中会談は調査対象企業の協議申請および二国間事前確認の協議申請を中心に議論されました。日中両国間の取引額が拡大している昨今の経済状況から考えると、二国間の事前確認は国際二重課税の排除において、ますます重要となります。

事前確認協議(APA)とは

「事前確認協議」(Advance Pricing Arrangement、以下APA)とは、納税者と税務当局が、特定期間の関連者間取引に適用する移転価格算定方法について事前に合意し、特定期間の関連者間取引に関わる税収問題を解決する制度です。

一般的にAPAは「国内APA」、「二国間APA」および「多国間APA」に分類されます。「国内APA」とは一国の税務当局が、自国の納税者との間でAPAを締結することをいいます。「二国間(多国間)APA」とは、関連者間取引に関わる二国またはそれ以上の税務当局と交渉し、合意したAPAをいいます。

企業にとってAPAはクロスボーダー取引に関する納税義務の予測可能性を高め、不確実性を排除する効果があります。税務当局にとっては納税者に対する移転価格管理を効率的に実施することができます。よって、APAの整備状況はその国の移転価格税制の成熟度に関するマイルストーンと言われることがあります。

経済の国際化と企業のグローバル化に伴い、二国間または多国間APAが多国籍企業の移転価格問題を解決する手段となり、各国の税務機関および多国籍企業に注目され運用されるようになっています。

日本と中国におけるAPAの進展

日本は1987年に世界に先駆けて事前確認制度を導入しました。1999年には「独立企業間価格の算定方法等の確認について」や「相互協議申請の手続について」等の通達を配布し、国内APAや二国間(多国間)APAの実務を指導するとともに、2001年6月には「移転価格事務運営要領の制定について(事務運営指針)」および「相互協議の手続について(事務運営指針)」を配布し、APAに関わる相互協議手続を明確化しました。2011年6月現在、日本国税庁は23カ国の税務当局と相互協議を行っています。

一方、中国では1998年の「関連企業間取引税務管理規定」(国税発【1998】59号)で、初めてAPAの概念を導入しました。2004年にAPA申請ガイドライン「関連企業間取引事前確認実施規則(試行)」(国税発【2004】118号)を交付し、申請条件、手続等に対して比較的詳細な規定を設けました。中国のAPAに関連する通達は、表1の経緯をたどります。

表1:中国APAに関連する通達の進展経緯

日中の二国間APA

中国は日本にとって最大の貿易相手国であり、良好な投資環境が日中貿易の拡大に貢献してきました。1983年の「日中租税条約」の締結は、両国間の取引の安定的な発展および税務紛争の回避に貢献してきました。

2005年4月には、両国税務当局が二重課税回避とAPAの締結について積極的な協議を重ねた結果、日中間の初の二国間APAが締結されました。このAPAは深圳市地方税務局と東芝複印機(深圳)の間で締結されたもので、最初の事前相談から締結までに3年間の時間を要しました。

東芝の案件は、中国のAPAと二国間相互協商の空白を埋めることとなり、中国はその後、デンマーク、韓国との間でも二国間APAを締結しています。さらに2009年までの5年間に締結されたAPAは12件となり、2011年10月には20件までに至っています。

中国国家税務総局により公布された移転価格に関する規定により、中国の移転価格税制は国際標準に近くなっています。APAの面においては、申請の手続が明確になり、中国政府と税務当局は多国籍企業のAPA制度をさらに拡大したいとの意向を表明しています。経済グローバル化と日中貿易のさらなる拡大に伴い、APAが日中両国取引における二重課税と税務紛争減少に役立つことが期待できます。

人民元
 その他、為替レートは、こちらより。
やまびこ上海 ウェネバー人材 ウェネバートラベル
ウェネバーオンライン らくらくプレス