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人員削減の方法と経済補償金

近年、業績の悪化している日系企業では人員削減が頻繁に行われている。従業員を削減する代表的な方法としては、①労働契約の不更新、②労働契約の合意解除、③整理解雇、④解散解雇を挙げることができる。本稿では、各種方法と経済補償金について詳解する。

【契約不更新】
労働契約の不更新は、現在の労働契約の終了をもって以後の契約を更新しない方法である。ある程度時間をかけながら徐々に従業員を減少させていく場合には有効な手法であり、比較的スムーズに人員を削減することができる方法といえる。しかしながら、2回以上固定期間労働契約を締結している従業員については、無期間の労働契約を締結していることが一般的であるため、契約不更新によって削減することができる従業員は比較的雇用期間が短い従業員に限定される。その意味で、経営サイドが削減したいと考える給料が高い従業員の削減にはそぐわない。

【合意解除】
契約不更新では削減しきれない部分について、使用者と労働者が合意の上で労働契約を解除する方法である。この方法であれば雇用期間に制限なく、労働契約を中途解約することができる。労働契約法46条によれば、労働者による一方的な労働契約の解除については経済補償金の支給範囲外としているため、労働者側から契約解除を求めることは少ない。一般的には使用者側から解除を申し出ることになるが、この場合経済補償金の支払いが必要となる。また、合意解除できない特定の従業員も存在する。

【整理解雇】
企業の経営状況に一定の事由が発生した場合には、20名以上の従業員または20名未満であるが従業員全体の10%以上の従業員を解雇することができる。一定の事由とは①破産法の規定に従い再生を行う場合、②経営に重大な困難が生じた場合、③企業の生産活動の転換、重大な技術革新または経営方針の調整により、労働契約の変更をした後もなお人員削減の必要がある場合、④その他労働契約の締結時の経済環境に重大な変化が生じ、労働契約の履行が不可能となった場合だ。いわば強制的に人員削減できる方法であるが経済補償金を支払わなければならないことに変わりはなく、ストライキリスクが依然として付きまとう。また、無期間雇用の従業員については、優先的に雇用を継続しなければならず、経営サイドが削減したいと考える勤続年数が長い従業員を狙い撃ちで整理解雇できるとは限らない。

【解散解雇】
これは、会社の解散と同時に従業員を解雇する方法である。会社の解散には商務部の許認可が必要であるが、この許認可に際して従業員の取り扱いについての合理的な計画案の提出を求められることがある。経済補償金の支払いが必要なのは他の方法と同様であり「解散してしまうのだから経済補償金を支払わなくて良い」という訳にはいかない。多くの日系企業が経営に苦しむ中で、解散するにも金がいるという中国ビジネスの困難の一例でもある。

【特殊な従業員】
上記の各方法はすべての従業員に適用することができる訳ではない。①無期間雇用となっている従業員、②妊娠、出産、授乳期間にある女性従業員、③勤続年数15年以上で法定退職年齢まで5年未満の従業員等については一定の制限がある。まず①無期間雇用(終身雇用)となっている従業員については、契約不更新による人員削減の対象とはなり得ない。次に②妊娠中等の女性従業員については、契約不更新による解除と整理解雇をすることができない。人員削減を検討する中、働くことができない従業員を会社に残さなければならない事態は経営者にとって何ともやりきれない。③定年前の従業員についても契約不更新、整理解雇については実施できない。

【経済補償金】
経済補償金とは、労働契約の終了や解除時に、会社が従業員に対して支払うべき補償費用を指す。会社は下記の場合に経済補償金を支払わなければならない。

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経済補償金の計算は労働契約法47条に基づき、勤続年数1年につき1カ月分の賃金相当額を支払わなければならない。勤務年数が6カ月以上1年未満の者については1カ月分を、6カ月未満の者は半月分の賃金相当額を支給しなければならない。年数の上限は12年となる。なお、本稿では2007年以前の経済補償弁法の規定については割愛する。

経済補償金の計算基礎であるが、直近12カ月間の平均賃金となる。この平均賃金が最低賃金基準の3倍を超える場合には、最低賃金の3倍が計算基礎となる。また賃金の範囲であるが、給与のほか、賞与、各種手当が含まれる。会社が負担している社会保険料は含まれない。残業代については法律上では計算基数に含まれるが実務上は含んでいないことが多いようである。また、これは法定の最低額を意味しており、実際にはこの1.2倍~2倍くらいの間で労使間交渉が妥結するケースが多いと思われる。経済補償金についても個人所得税の納税は必要であるが、平均賃金の3倍以内の額までは納税しなくて良いという免税措置がある。

長らく執筆させていただきました本コラムですが、筆者は5月末をもって日本に帰国することになりました。本コラムを通じて多くの方々と接点を持つことができました。この場をお借りしてお礼申し上げます。本コラムは引き続き筆者の後任者が執筆を続けることになります。今後ともグラント・ソントングループをお引立ていただきますよう、よろしくお願い申し上げます。

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