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企業価値評価概論

昨今、日本企業が中国企業に出資する、あるいは中国企業が日本企業を買収するといったケースが増えてきています。本稿では、企業の買収時に必要な企業価値の評価方法について概括してみたいと思います。

企業評価の一般的手法

企業価値の算定方法にはマーケット・コスト・インカムという3つのアプローチがあり、国際的な評価方法として実務が定着しています(表1参照)。マーケットアプローチというのは、上場している他の会社との比較で企業価値を算出しようとする方法です。「あの会社の株価時価総額があれくらいだったら、この会社はこれくらいだよね」という発想です。コストアプローチというのは、バランスシートから企業価値を算定しようとする方法です。過去にかかったコストの積上げから企業価値を算定します。インカムアプローチというのは、将来の予測収益力に基づいて企業価値を算定しようとする方法です。企業価値を算定する場合、3つのアプローチの内、1つだけを使用する場合もあれば2つ、3つの手法を併用することもあります。

表1・各評価方法の概要

項目 内容 長所 短所 中国採用状況
マーケットアプローチ 類似公開会社の株価と比較による評価手法 客観性のある価格算定が可能 ・類似会社の選定が困難
・比準値の選択に恣意性が入り込みやすい
コストアプローチ 貸借対照表の純資産に着目した評価手法 客観性のある価格算定が可能 将来見込を価格に反映できない
インカムアプローチ 会社の見積将来キャッシュフローを現在価値に割り引く評価手法 将来見込を価格算定に織り込むことが可能 将来計画の算定、割引率の決定に恣意性が入り込みやすい

 

中国においては、「企業価値評価指導意見(試行)」(2004年中国資産評価委員会)および「国有資産評価管理弁法」(2005年国務院国有資産監督管理委員会)に基づき評価を行うことになりますが、表現の違いこそあれ、国際的な評価方法と概念的な相違はありません(表2参照)。

表 2・企業価値算定方法

視点 国際的評価方法 中国での評価方法
マーケットアプローチ 市場株価 市場価格法
コストアプローチ 時価純資産法 再調達原価法
インカムアプローチ DCF法 収益還元法

 

DCF法

ここでは3つのアプローチの内、最も頻繁に使用されるインカムアプローチについて、さらにその中でも代表的手法であるDCF法(Discounted Cash Flow Method)についてご説明致します。DCF法というのは、①将来の収益予測に基づき、キャッシュがいくら積み上がるかを年度別に計算し、②その予測値を現在価値に割引計算して、企業価値を算定する方法です。現在価値に割引計算するというのは、金利などを考慮するという意味です。

例えば「今の100元は5年後には100元ではない、金利が付いて120元くらいになっている。そうであるならば、仮に5年後に100元のキャッシュが積み上がると予測した場合、今の現在価値は80元しかない」と考えるわけです。5年後に100元の資産を手にするために、今いくら投資するのが適切かというと、90元では高すぎる、80元くらいが妥当な値段(企業価値)と考えるわけです。

この割引計算に用いる割引率を何パーセントで行うか、というところが難しい計算になってきます。この計算を行う際には、複数の数値を組み合わせて算出します。借入金の利子率であったり、国債の利子率であったり、国債の利子率と株式市場の収益率の差などを用います。

国債の利率を使うのは、昨今のギリシャやイタリア国債は別として、貸倒リスクの想定されない安全な資産に投資した場合のリターンは最低限確保できる値段(企業価値)でなければ、企業に投資する意味がないと考えるためです。国債と同じリターンであれば、あえて企業を買わなくても、国債を買った方が得策です。国債の利子率にプラスアルファして、どれだけのリターンを求めるかということに関して、株式市場全体の過去の収益率などを使ったりします。

中国におけるDCF法

中国においてもDCF法は使用されますが、中国特有の懸案事項が存在します。最大の懸案事項は、中国の証券市場に関する過去統計数値がまだ不足しているという点です。

上記割引率の算定では、証券市場における過去の統計数値を使うのですが、日本から見た場合、その統計数値の蓄積が足りないと映るわけです。そこで米国や日本の証券市場の過去統計を使おうとするケースがあります。

確かに、日本の証券市場は50年以上の歴史があるのに対し、中国の証券市場は20年程度、しかも証券市場価格が公正に形成されたのは直近10年ほどかもしれません。しかし、中国の会社の企業価値を評価するのに、米国や日本の証券市場のデータを使う積極的な根拠は見受けられません。現在の中国には制度的に日本や欧米と同じ証券市場システムが存在します。そうであれば、中国の証券市場に関する過去統計数値を使うのが妥当でしょう。

またDCF法は将来計画を前提にしていますが、その将来計画の実現可能性についても問題となります。実現可能性を考慮していない、バラ色の事業計画では当然に企業価値が跳ね上がるわけです。よって、買収対象企業の提出する事業計画の実現可能性、過去実績との整合性などを十分に吟味する必要があります。

 

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