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第18回 人民元の「国際化」が加速

中国が人民元「国際化」の歩を速めている。通貨スワップの締結や人民元決済銀行の指定等で流動性環境を整備。IMFの特別引出権への人民元採用に向けて、資本取引の開放も急いでいる。一方、日中関係の好転により、日本のオフショア人民元市場の発展が期待される。

 

人民元改革の成果を総括

中国人民銀行(PBOC)は今年6月、公式サイト上で「人民元国際化報告」を初めて発表した。2009年に開始した人民元クロスボーダー利用の規制緩和とその実績を総括した上で、今後の「国際化」の展望を示した。

人民元のクロスボーダー利用は、わずか5年あまりで目覚ましい進展をみせている。報告によると、経常取引における人民元決済は昨年、前年比41.6%増の6兆5500億元に上った。また、11年に解禁された人民元による対外直接投資、外商直接投資は昨年、それぞれ同117.9%増の1866億元、同92.4%増の8620億元まで拡大した。2014年の国際収支における人民元の割合は23.6%に達している。

国際銀行間通信協会(SWIFT)によれば、国際取引における人民元決済のシェアは昨年末、決済通貨として日本円(2.69%)に次ぐ第5位(2.17%)に躍進した。

政策面での環境整備も進んでいる。金融危機発生時に相手国通貨の融通を受けられる通貨スワップでは、今年6月末時点で32カ国・地域と計3兆1000億元に上る協定を締結。国際決済の円滑化を図るため、今年7月までに17カ国・地域でそれぞれ中国系銀行の現地法人・支店を人民元決済銀行に指定している。また、ドルを介さない為替直接交換取引は日本円を含む主要通貨で実現している。

オフショア人民元で中国の証券市場に投資する人民元適格機関投資家(RQFII)制度は、11年の試行開始以来、適用地域を徐々に拡大。現在、13カ国・地域に対して計9700億元の枠を設定しており、実際に今年6月末段階で国外132機関が計3909億元の投資枠を認可され、証券投資を行っている。また、昨年11月には上海と香港地区の証券取引所で株式の相互取引「滬港通」が実現。深圳証券取引所と香港地区の株式相互取引「深港通」も近く始まる予定だ。

 

日本のオフショア市場に期待

今後の展望として注目されるのは、国際通貨基金(IMF)の特別引出権(SDR)への人民元採用だ。SDRとは、外貨不足に陥ったIMF加盟国が他国から外貨を受け取れる権利のことで、現在の構成通貨はドル、ユーロ、ポンド、円の4種類。今年は5年に一度の見直し時期に当たり、中国政府が構成通貨入りを目指している。

SDRに採用されれば、人民元の国際化が一段と進展する。ただ、構成通貨となるにはIMFに自由利用可能通貨と認定されなければならず、中国側は資本取引の開放や為替相場の自由化をさらに進める必要がある。このため、国内個人による国外証券投資(いわゆる「QDII2」)制度等の改革措置が近く実施されるとみられている。

一方、日中関係の好転で期待されるのが、日本におけるオフショア人民元市場の拡大だ。2012年6月に人民元と円の直接取引が実現して以降、両国の金融協力が停滞。人民元決済銀行やRQFIIは、日本では未だに設定されていない。しかし、昨年11月以来2度の首脳会談と今年6月の財務対話を受け、メガバンクが東京市場で初めて人民元債券を発行した。今後さらなる動きも予想されよう。

 

人民币国际化加速

中国正在加快人民币“国际化”的步伐。除以签订货币互换协议和指定人民币清算行等措施来完善人民币流动性环境以外,还为推动人民币纳入IMF的特别提款权货币,加速推进资本项目的开放。另外,随着中日关系的好转,今后还能期待日本离岸人民币市场的发展。

 

月岡 直樹 みずほ銀行(中国) 中国アドバイザリー部 2004年関西学院大学卒。ビジネス誌の編集を経て、2012年7月より現職。現在、中国のビジネス法規を解説する「みずほ中国ビジネス・エクスプレス」の執筆を担当している。

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