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第3回 上海FTZで金融改革が始動

MIZUHO 中国経済ウォッチ 第3回

 

 

中国人民銀行(PBOC)が中国(上海)自由貿易試験区(上海FTZ)における金融改革の「30条意見」を発表して3カ月。実施細則が2月に相次いで公布され、改革が実質的に動き始めた。外貨管理では、これまで認められていなかった業務を開放。資本取引の自由化も進む見通しだ。

 

内資企業もCNHを借入可能に

PBOCと国家外貨管理局は今年2月下旬、相次いで通達を公布し、上海FTZにおける金融改革が実質的に始動した。PBOCが昨年12月に上海FTZにおける金融改革の「30条意見」を発表してから、実務上の取り扱いを可能とする実施細則の公布が待たれていた。

 

改革の目玉の1つは、人民元のクロスボーダー利用の促進だ。銀行決済手続を一段と簡素化したほか、クロスボーダーの人民元プーリングや集中決済、内資企業によるオフショア人民元(CNH)の借り入れを開放している。

 

オフショア人民元は現在、外商投資企業が外債枠(投注差)内で借り入れられる。一方、上海FTZでは内資・外資を問わず、期間1年以上の借り入れが計算式(払込資本金×1倍×マクロプルーデンス・パラメーター)から算出される金額を上限として可能となった。現状は払込資本金と同額まで借り入れられるとされている。しかも、残高管理であるため、返済すれば何度でも借り入れられる。ただし、借り入れたオフショア人民元は、上海FTZでの生産・経営、上海FTZおよび国外でのプロジェクト建設に使用しなければならない。

 

枠組み維持も利便性が向上

一方の外貨管理では、実需原則や外債枠の規模管理といった枠組みを維持しながらも、これまで認められていなかった業務を開放し、利便性の向上を図っている。

 

外貨管理改革の1つ目は、上海FTZ内の外商投資企業による外貨資本金の自由な元転だ。現行規定において、資本金は実需に基づいてその都度、必要な額を人民元転しなければならないが、上海FTZでは全額を一度に元転することも可能とした。ただし、元転後は全額をいったん「元転後支払待ち口座」に入金し、実需に基づいて使用しなければならない。委託貸付の実行や非自社用不動産の購入が禁止されている点も従来通りだ。

 

2つ目は、多国籍企業集団によるクロスボーダーの外貨プーリングと経常取引集中差額決済の開放だ。外貨プーリングとは、実施企業がプーリング口座を開設してグループ企業の余剰外貨を集中管理するもので、上海FTZでは国外のグループ企業とも外貨資金を融通し合うことが可能になった。ただし、国外との資金移動が完全に自由化された訳ではなく、国外から調達できる外貨資金については、グループ各企業が持つ外債枠から各企業がすでに使用している外債枠を差し引いた金額を上限としている。

 

引き続き当局の政策に注目

このほか、小口外貨預金(300万米ドル未満)の金利自由化が実現したものの、「30条意見」で注目を集めていた自由貿易勘定(FTU)関連の規定は一連の通達に盛り込まれなかった。上海FTZで就業している個人による国外証券投資や外国人による国内証券投資等の実施細則も未だ公布されていない。

 

ただ、PBOC上海本部の責任者は、資本取引の自由化改革に関する細則を打ち出すと発言している。今後も上海FTZ関連の政策動向から目が離せなさそうだ。

 


 

みずほ銀行(中国) 中国アドバイザリー部 月岡 直樹

月岡 直樹

みずほ銀行(中国) 中国アドバイザリー部
2004年関西学院大学卒。ビジネス誌の編集を経て、2012年7月より現職。現在、中国のビジネス法規を解説する「みずほ中国ビジネス・エクスプレス」の執筆を担当している。

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