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第6回 元安が進んだ上半期の為替市場

MIZUHO 中国経済ウォッチ 第6回

 

 

今年上半期の人民元為替市場は、年初の予想に反し、元安が急速に進んだ。市場では当局が市場改革の実施や投機抑制のため、元安誘導を図ったとの声も聞かれる。中国人民銀行(PBOC)は為替相場における「双方向の変動弾力性」を強調しており、今後は双方向の変動性が高まりそうだ。

 

変動幅拡大のため元安誘導か

人民元為替市場で元安が進んでいる。昨年は一方的に元高が進行、今年も年初にはこの勢いで年内に1ドル6元の大台を突破するとも予測されていた。しかし2月以降、急速に元安が進み、4月30日には1ドル=6.2593元(市場終値)と、2012年10月の水準まで回帰した。

 

PBOCは今年3月15日、人民元対米ドル為替相場の1日の許容変動幅をPBOCが公表する基準値の上下1%から2%へと拡大すると発表し、週明けの17日から実施した。2月末の元安進行はPBOCが変動幅拡大を断行する市場環境を整えるために誘導した、との憶測も出ている。

 

変動幅拡大については、PBOCの易綱副行長が昨年4月に近く実施する方針を明言し、市場では昨年内の実施が予想されていた。当局が昨年内の実施を見送ったのは、一方的に元高が進行している中での変動幅拡大が元高を一層加速させ、輸出産業に悪影響を及ぼすことを懸念した可能性が考えられる。

 

投機を押さえ込む狙いも

当局による誘導とみられる元安進行には、元高を当て込んだ投機取引を押さえ込む狙いもあったと指摘されている。

 

中国では近年、架空の貿易取引により国外で金利の安い外貨を調達し、中国内で人民元に両替して理財商品等に投資、利ザヤを稼ぐキャリートレードが横行していたようだ。当局の基準値による管理下で緩やかな元高が続く中、為替リスクなしの利ザヤ獲得を見込めたためだ。これが貿易額の“水増し”や一層の元高圧力につながったことから、国家外貨管理局は昨年5月と12月に通達を出し、実需に基づかない違法な外貨流入の集中的な取り締まりを行った。

 

変動幅拡大後も元安が続いたのは、輸出の鈍化や米国の量的緩和(QE)縮小によって市場の元高期待が後退するとともに、投機取引による元買いポジションが解消されたことが大きな要因と考えられる。

 

双方向の変動弾力性を強調

PBOCは6月9日、基準値を前営業日比0.22%元高の1ドル=6.1485元に設定した。1日の上昇幅は2012年10月以降で最大。この突然の元高設定は、“水増し”分が十分に搾り出されたとの考えに加え、5月の輸入が前年比で減少し、貿易黒字が拡大したことが要因と指摘されている。

 

PBOCは最近の為替相場について、「双方向の変動弾力性の増強」を強調している。このため、今後は双方向の変動性が高まる可能性が高い。また、将来的には「基本的に常態式の外貨市場介入から退出する」考えも示しており、資本項目の開放に伴って、為替市場制度改革の進展も期待されよう。

 

人民元為替相場の推移

 


 

みずほ銀行(中国) 中国アドバイザリー部 月岡 直樹

月岡 直樹

みずほ銀行(中国) 中国アドバイザリー部
2004年関西学院大学卒。ビジネス誌の編集を経て、2012年7月より現職。現在、中国のビジネス法規を解説する「みずほ中国ビジネス・エクスプレス」の執筆を担当している。

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