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第8回 「新常態」とは何か?

MIZUHO 中国経済ウォッチ 第8回

 

 

「新常態(ニューノーマル)」という言葉が最近、中国のメディアで頻繁に取り上げられている。この概念には、中国政府の中国経済に対する現状認識が透けてみえる。「新常態」とは何か? 「新常態」下では、どのような政策運営が見込まれるのか?

 

中国経済は新たな段階に突入

「新常態」は、習近平国家主席が今年5月に河南省を視察した際に中国政府として初めて公式に表明した概念だ。習氏はこの時、「目下のわが国の経済発展の段階的特徴から出発し、新常態に適応し、戦略上の平常心を保持しなければならない」と強調している。それが最近、特に注目を集めるようになったのは、人民日報が8月上旬に連載した中国経済の「新常態」に関する論説がきっかけだ。

 

論説は、中国経済がGDP成長率10%前後の高速成長期から7 ~8%台の中高速成長期へと不可逆的に移行し、「三期重畳」(三期とは成長速度のギアチェンジ期、構造調整の陣痛期、従前の刺激政策の消化期)の難しい局面にあるとの認識を示している。しかし、「新常態」下では投資主導型・粗放型経済から消費主導型・イノベーション駆動型経済への構造転換が促進され、経済の質が向上し、物価・雇用の安定も図れると指摘する。

 

その上で、中国経済には地方債務問題等のリスクが存在しているものの、この新状況に適応しなければならないと強調。政府機能の転換をはじめとする全面的な改革の深化が、中国経済の新たな動力になると力説している。

 

政策への過度な期待を戒めか

「新常態」の概念は、中国経済に対する政府の冷静な現状認識を示している。一方で、根強い高速成長志向や経済政策に対する過度な期待を戒める意味も込められていると考えられる。

 

今年上半期のGDP成長率は7.4% まで減速し、政府目標の7.5%を割り込んだ。7月、8月の経済指標は再び悪化。不動産市場では年初以来の低迷が続いており、中小零細企業の“資金調達難、資金調達の高コスト化”状況も解消されない中、大規模な景気刺激策や金融緩和を求める声が日増しに高まってきている。

 

しかし、成長率を無理に引き上げれば、資産バブルの形成や過剰生産能力の積み上げにつながるおそれがある。「新常態」論は、成長率を合理的な範囲内に維持すべきと主張。農業や中小零細企業向け貸付を対象とした預金準備率の引き下げ等の「的を絞ったコントロール(定向調控)」を堅持すると表明しており、こうした声に水を差す形となっている。

 

雇用に目配りしつつ改革続行

李克強首相は9月10日、天津で開催された夏季ダボス会議で講演し、「国際・国内経済に現れた新常態において、(中略)構造調整等の長期的な問題により注目し、個別指標の短期的な小幅の変動によって踊らされない」と断言している。安定成長の維持は「雇用保持のため」であり、「経済成長が7.5%前後に保持されていれば、少し高くても低くても、合理的な区間に属する」と強調。当面は「経済発展方式の転換をさらに加速する」考えを明らかにしている。

 

景気刺激策には依存しない従来の方針をあらためて強調した形だ。中国では今後も、経済の“微調整”策により一定の成長率と雇用を確保しつつ、構造改革を進める政策運営が続くとみられる。

 


 

みずほ銀行(中国) 中国アドバイザリー部 月岡 直樹

月岡 直樹

みずほ銀行(中国) 中国アドバイザリー部
2004年関西学院大学卒。ビジネス誌の編集を経て、2012年7月より現職。現在、中国のビジネス法規を解説する「みずほ中国ビジネス・エクスプレス」の執筆を担当している。

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