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第9回 改革の“複製・普及”は進んだか?

MIZUHO 中国経済ウォッチ 第9回

 

 

中国(上海)自由貿易試験区(上海FTZ)が9月29日、設立1周年を迎えた。市場化改革の“実験場”である上海FTZは、区内で試行した改革措置の全国への“複製・普及”を目指しているが、この1年で“複製・普及”はどれほど進んだのだろうか?

 

出資条件緩和をいち早く展開

上海FTZ で導入された改革措置のうち、いち早く全国に“複製・普及”されたのは、会社登録資本金に関する制度改革だ。資本金とその払込に対する制限(最低資本金額、初回出資比率、資本金払込期限、現金出資比率)を撤廃するとともに、会社定款等で定めた資本金額のみを登記し、出資金払込後の検査と登記を不要とする引受資本登記制度を導入した。

 

昨年12月28日に改正公布された『会社法』は、最低資本金額や出資金払込検査等に関する規定を削除。これにより、改革は改正法施行日の今年3月1日より全国展開されている。

 

この改革に付随して導入されたのが企業年度報告開示制度だ。従来の企業年次検査に代わるもので、今年3月に上海FTZで先行実施され、8月公布の『企業情報開示暫定条例』により全国展開された。上海FTZ以外の全国の企業は、来年6月30日までに2013年度と14年度の報告を完了しなければならず、義務未履行の場合は経営異常名簿に掲載されることになる。

 

外商投資企業への影響が大きかった上海FTZの改革措置は、外商投資プロジェクト認可・企業設立批准手続の届出制への変更とネガティブリスト参入モデルの導入だろう。プロジェクト認可手続については、制限類等を除き届出制へと移行。企業設立批准手続についても、商務部がすでに外資三法(『外資企業法』『中外合資経営企業法』『中外合作経営企業法』)の改正作業に着手している。

 

着実な改革進展の一方で課題も

外貨管理規制の緩和については、外貨資本金を自由なタイミングで人民元に両替できる自由元転制が、今年8月より国内16地域にも適用されている。また、多国籍企業集団による外貨資金集中管理(クロスボーダー外貨プーリング、経常取引の集中差額決済)の実施も、今年6月より全国展開された。ただ、集中管理を実施できる企業集団の条件として前年度の外貨収支額が1億ドルを超えることを追加するなど、その実施規定には若干の調整が施されている。

 

上海FTZにおける人民元のクロスボーダー使用拡大措置は、①経常取引の決済手続簡素化 ②個人貿易の人民元決済 ③払込資本金モデルに基づくオフショア人民元の借入 ④人民元資金集中運営管理(クロスボーダー双方向プーリング、経常取引の集中決済)──がすでに実施されている。中国人民銀行は今年6月の通達で①、②を全国展開しており、同通達に盛り込まれた④についても11月の実施細則公布で実際の取り扱いがスタートしている。

 

このように、“複製・普及”はわずか1年で着実に進行しているが、一方で課題も残されている。中国人民銀行の意見に盛り込まれた証券投資などの規制緩和は、実施待ちの状態が続いている。また、上海市政府は今年7月1日にネガティブリストの2014年版を発表し、リストの項目を2013年版の190から139へと圧縮しているが、市場に大きなインパクトを与えそうな開放措置は見当たらず、サービス業を中心にさらなる市場開放が望まれるところだ。

 


 

みずほ銀行(中国) 中国アドバイザリー部 月岡 直樹

月岡 直樹

みずほ銀行(中国) 中国アドバイザリー部
2004年関西学院大学卒。ビジネス誌の編集を経て、2012年7月より現職。現在、中国のビジネス法規を解説する「みずほ中国ビジネス・エクスプレス」の執筆を担当している。

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