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業界インタビュー

システミック・コーチングで 「現地化」「組織変革」を推進 – コーチ・エィ 取締役社長 鈴木 義幸 氏、 執行役員 稲川 由太郎 氏


[ 2013-09-25 ]
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鈴木義幸(すずき・よしゆき)氏
慶應義塾大学文学部卒業。マッキャンエリクソン博報堂に勤務後、渡米。ミドルテネシー州立大学大学院臨床心理学専攻修士課程を修了。テネシー州の公的機関でセラピストを務める。帰国後、コーチ21 の設立に参画。延べ300 社以上において管理職を対象とするコーチングセミナーを実施。また200 人を超えるエグゼクティブのコーチングを行う。

エグゼクティブを起点に組織全体の能力開発を実現するシステミック・コーチングで、日系企業の「現地化」「組織変革」を支援するコーチ・エィ。コーチ・エィ取締役社長の鈴木義幸氏と同社執行役員兼高起企業管理諮詢(上海)総経理の稲川由太郎氏に、コーチングのニーズの高まりの背景や同社のコーチングの特徴、日系企業の導入事例などについて聞いた。

世界的に関心が高まる

世界的にコーチングへの注目度が高まっている背景をどうご覧になりますか。

鈴木義幸氏  世界的にリーダー層が不足し、「リーダー開発」のニーズが高まっていることがあります。企業の現場では、リーダーや中間管理職を中心とするミドル層を含め、リーダーの数が足りていません。日本をはじめとする先進国においては、団塊の世代が一斉退職したことがリーダー不足を深刻化させています。

日本企業のコーチングの需要には、どんな傾向がありますか。

鈴木氏  日本では、社長や役員クラスなどの経営陣にエグゼクティブコーチをつけるとともに、エグゼクティブ・コーチングを軸に組織全体にインパクトを及ぼす「システミック・コーチング」(編集注:コーチ・エィが独自開発したコーチング手法で、エグゼクティブを起点に組織全体の能力開発を実現する)を導入する企業が増えています。グローバル展開を進める企業の中には、海外赴任が決まった海外拠点長などのマネジメント層に内示直後からコーチをつける動きもあります。

グローバル展開する日本企業の導入事例をご紹介ください。

鈴木氏  中国にも拠点や工場を持つある企業では、グローバルで戦える人材と組織の育成のために、「グローバル・コーチング・プログラム」を推進しています。昨年から、グループ各社から選抜した300人が当社のコーチの指導を受けながら、自らも「社内コーチ」として各自5人の社員のコーチングに当たっています。例えば、サンフランシスコのマネージャーが上海のマネージャーをコーチするといった具合で、部門やグループ企業間を越え、国境を跨いでの対話を進めています。2000名を超える社員に、プロジェクトを通じて部門を越えて対話する習慣が根付きつつあるなど、今後のイノベーションにもつながることが期待されています。

バンコク拠点を設立

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稲川由太郎(いながわ・ゆうたろう)氏
米国サンダーバード大学院国際経営学修士MBA。大日本印刷、上田短資グループ、プラウドフットジャパンで勤務。ニチモウ代表取締役として会社変革に取り組んだ後、ゴルフ場の代表取締役総支配人を経てコーチ・エィに入社。組織能力の向上にむけたプロジェクトと、それに伴うエグゼクティブ・コーチングを得意とする。

コーチングの業界で独自のポジションを確立していますね。

鈴木氏  100人以上のコーチを正社員として擁し、数百人の管理職に同時にコーチをつけるといった大企業での大規模プロジェクトに対応できる当社のような企業は、世界的にも珍しいです。われわれは、コーチングを通じ、組織のエグゼクティブを変化させ、その変化を組織全体に波及させていくことに一貫して取り組んでいます。こうした考えのもとに設計されたシステミック・コーチングは、現在日本国内で企業だけでなく、医療や教育、自治体などにも導入されています。

グローバル展開を進める企業の支援に注力しています

鈴木氏  今年7月にタイのバンコクに拠点を設けました。ニューヨーク、上海、シンガポール、香港地区に続く5カ所目の海外拠点となります。

タイの日系企業には、どのようなニーズがありますか。

鈴木氏  タイの日系企業には、日本人駐在員のトップダウン型マネジメントが定着し、自発的・自律的なナショナルスタッフがなかなか育たないことに悩んでいるところが多いです。 また、管理職経験の少ない若手日本人駐在員が、赴任後にナショナルスタッフのマネジメントに苦慮し、パフォーマンスを発揮できない問題や、経営の重責を担い、ナショナルスタッフの育成に手が回らないなどの課題があります。そこで当社では、日本人駐在員のリーダー層にコーチをつけ、ナショナルスタッフとの関係構築や育成を実現しながら、パフォーマンスを発揮するお手伝いをしています。

自発的な地場社員育成を支援

中国の日系企業の間にもコーチングがかなり浸透してきているようです。

稲川由太郎氏  おかげ様で日系企業の皆様にコーチングを提供する機会が増えています。2010年7月に中国現地法人の高起企業管理諮詢(上海)を設立してからこれまで、約110社の企業にコーチングを導入させていただきました。当初は日本人駐在員のトップの方のコーチングが多かったのですが、近年は人材現地化を進める企業が増え、ナショナルスタッフの地位が上がったことで、中国人社員をマネジメントするナショナルスタッフのコーチングを提供する機会も多いです。

日系企業には、やはり現地化を進めるためのコーチングのニーズが多いのでしょうか。

稲川氏  その通りです。日系企業トップの皆様の多くが口をそろえて、「中国人のリーダーを育成したい」「中国人のトップに経営を任せたい」「商品・サービスを開発し、市場を開拓していくナショナルスタッフがほしい」とおっしゃいます。現地化するには、自分で考えて行動できるナショナルスタッフが必要ですが、そうした人材は通常の研修ではなかなか育ちません。そこで、コーチングを通じてこうした人材を育て、現地化を目指す動きが活発化しているのです。

コーチングを通じた人材の現地化や組織変革の一番のポイントは何でしょうか。

稲川氏  将来のマネジメント候補となるナショナルスタッフ自身の変化も大切ですが、実は日本人トップ自身の〝変化〞がポイントになります。われわれは、組織に一番影響力を持つ日本人トップへのコーチングを通じ、組織変革を促す方法をお勧めしています。

では、現地化の要となる自発的・自律的なナショナルスタッフの育成の成功事例はありますか。

稲川氏  ある企業では、ナショナルスタッフの育成に悩んでいました。同社のナショナルスタッフは社内で問題が発生しても、率先して解決に取り組もうとしませんでした。日本人駐在員のトップダウン型マネジメントが定着し、言われたことをするのが自分の仕事と考えていたからです。そこで、当社ではまず日本人駐在員の部長クラスをコーチングし、ナショナルスタッフの課長に「話を聞く」「問いかける」ことを薦めました。その後、部長からの問いかけにより、ナショナルスタッフは徐々に自ら考えて行動するようになり、離職率の低下や生産性の向上などの成果につながっています。

「グローバル・コーチング・ ファーム」を目指す

コーチ・エィは9月4日、上海市内で高起企業管理諮詢 (上海)の開業3周年記念セミナー「グローバルビジネスを加速させるリーダー開発」を開催した。日系企業関係者約80人が参加した

コーチ・エィは9月4日、上海市内で高起企業管理諮詢 (上海)の開業3周年記念セミナー「グローバルビジネスを加速させるリーダー開発」を開催した。日系企業関係者約80人が参加した

中国企業のコーチングへの関心が高まっているそうですね。

鈴木氏  最近、中国のビジネス誌「商学院」で大きく取り扱われたり、ビジネススクールでコーチングについての論文が発表されたりと、中国でもコーチングへの興味が高まっています。中国企業が抱える課題のひとつに、強いリーダーに頼るあまり、組織力が発揮されないというものがありますが、当社ではこうした課題のソリューションとしてコーチングを紹介し、中国企業の発展にも貢献できたらと考えています。

最後に、御社の将来のビジョンを教えてください。

鈴木氏  われわれが目指すのはズバリ、「グローバル・コーチング・ファーム」です。コーチングのプロ集団として、世界で存在感のある企業になりたいです。これを実現するために、日系企業のグローバル展開を支援しながら海外拠点の拡充に取り組み、同時に各拠点にナショナルスタッフのコーチを育て、地場企業の顧客開拓を進めていきたいと考えています。

コーチング導入事例①

image933オオツカ上海 董事 総経理 岩宮 宏 氏

自身の変化が部下にも影響 「ゴール」に向かい挑戦続く

今年10月に設立10年を迎える大塚商会の現地法人、欧智卡信息系統商貿(上海)(オオツカ上海)。この10年間、董事総経理の岩宮宏氏の陣頭指揮の下で、ITソリューションとサポートサービスを事業の2本柱にビジネスを拡大してきた。設立当初、上海のみだった拠点は、現在、蘇州、大連、広州と4拠点に拡大し、顧客企業数は約2100社に及んでいる。

岩宮氏は昨年7月から今年8月まで、コーチ・エィからコーチングを受けた。きっかけは、岩宮氏が以前上海で同社のセミナーに参加し、コーチングに興味を持っていたことと、日本本社の勧めだった。コーチングを受けた目的は「私自身が、本社が決めたゴールに向かうため、ステップアップを図っていくこと」だった。

コーチングを受け終えたばかりの岩宮氏は現在、ゴールに向かい、一歩踏み出せたと感じている。「トップとしてゴールの実現のために何をすればいいかについて、毎日考えている」。

また、自身の変化とともに、周りの部下が変って来ていることを感じている。「社員は、私が変化し、目標に向かってチャレンジしていることに刺激を受けている」という。

コーチングの開始後、岩宮氏はそれまではなかった副総経理のポストを設置し、4人(ローカルスタッフ3人と日本人駐在員1人)を投入、自らの仕事を徐々に委譲している。これも社員のモチベーションを高める大きな要因になっている。

岩宮氏は、コーチングに感謝しているという。「パターン化していた自分の行動や思考を見直すよい機会となった。今後もゴールの実現に向かい、全力投球していきたい」と話している。

コーチング導入事例②

image939ブラザー(中国)商業 総経理助理 行政部部長 盛 甦銘 氏

学んだことを実務ですぐに応用 話し合い、解決する仕組み定着

ブラザー工業の現地法人、ブラザー(中国)商業で総経理助理行政部部長として活躍する盛甦銘氏。「行政部の仕事にゴールはない。企業文化の浸透や規定・制度の整備、業務フローの作成や人材育成などを推進するとともに、従業員満足度の向上にも努めている」と説明する。

同社は、2011年に新たな五ヵ年計画がスタートしたタイミングで、社員一人ひとりがリーダーシップを発揮し、自律的に考え、行動できるようにすることを目的にコーチ・エィのコーチングを導入した。複数の幹部がコーチングを受けたが、盛氏もそのひとりだった。盛氏は「単発で終わる研修と違い、8カ月という長い期間だった。理論や知識を集中的に学ぶだけでなく、私も複数の部下へのコーチングを実践し、そこで悟ったことをコーチ・エィのコーチと1対1で話すなど、内容は豊富だった」と振り返る。

盛氏は、コーチングで学んだことを業務に適用してきたという。「リーダーシップのコツ、例えば相手の話にしっかり耳を傾けることや質問の仕方などを学んだが、非常に役立った」。

盛氏は、コーチングを受けた後の自身の変化をこう話す。「以前は問題解決が先決と考え、行動していたが、今では問題が発生した際に、意識的に相手の話に耳を傾け、協力して解決するよう心がけるようになった」。また、意識的に相手の行動を認め、相手の強みをより引き出すことに注力できるようになったという。

コーチングの導入後、社内で問題が発生した際に、話し合い、解決するという仕組みが根付いたと感じる盛氏。「今後もコーチングの手法を生かし、自身と会社を向上させたい」という。

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