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業界インタビュー

同社最大規模のフィギュア展を開催 製品の9割がメイド・イン・チャイナに – 海洋堂 代表取締役社長 宮脇 修一 氏


[ 2013-11-19 ]

オリジナルフィギュアの企画・開発から製造・販売までを手掛ける海洋堂が、上海市内で同社最大規模のフィギュア展を開催している。99年から中国で生産を始め、現在、製品の9割を中国生産が占めるが、世界の工場と呼ばれた中国の生産現場は急速に変化している。今回、展覧会の開会式出席のために上海を訪れた同社代表取締役社長の宮脇修一氏に、中国ビジネスと展覧会の見どころについて話を聞いた。

過去最大規模の展覧会

image1064―10月27日から来年1月15日まで、上海市内で中国大陸では初のフィギュア展覧会「海洋堂・世界美術館~フィギュアアート展」を開催している。

「今回の展覧会は3年前に、アートイベント運営会社のグースバンプスが企画し、中国で影響力を持つメディアグループ、上海メディアグループ(SMG)にアプローチを開始。そして当社は1年前にSMGより正式にオファーを受け、準備を進めてきた。フィギュアとは、アニメ・漫画のキャラクターや恐竜・動物、ロボットなどを精巧に表現した模型のことだが、中国では未知のジャンル。このため、開催場所の決定、会場使用の交渉などには苦労した。実現したのは、すべて関係者の『日本のおたく文化を披露したい』という強い情熱があったからだ。この歴史ある素晴らしい会場(1933老場坊:昔のと畜場をリノベーションした複合商業施設)と日本の新しい文化のコラボレーションを多くの人に見ていただきたい。小さな食玩(お菓子などのおまけ用のおもちゃ)から1/1スケール(等身大)のアニメキャラクターまで4000点以上の作品を展示する、海洋堂がこれまで国内外で開催してきた中で最大規模の展覧会となった」

―海洋堂はフィギュアの9割を中国の広東省で生産している。

「中国で安く生産できることを知り、99年に広州や東莞での生産を開始した。広東省はもともとアメリカなどのおもちゃ工場の集積地だったが、当時は簡単な製品が主流だったため、精密なフィギュアの生産には試行錯誤が必要だった。当社がどうしてこのような精巧な物を作れるようになったかと言うと、1人の名人の技をリトグラフ印刷の色分解のように細かく分ける方法を採ったからだ。例えば名人の10工程を100工程に割って、それをたくさんの人で分担することで、名人でなくてもスゴイ絵を描けるようにした。中国の工員は、非常に忍耐強く作業に取り組んでくれている」

―中国の生産コストは急速に上昇しているが、影響はあるか。また、今後の対応は。

「中国での生産コストは上昇し続け、また最近では工員の確保も難しくなってきた。だから私はこんないいフィギュアが安く買える時代はあと数年じゃないかなと思い、今のうちに買っておくことをおススメしている(笑)。もちろん、今後タイやベトナムなど東南アジアへ生産移転するために、じわじわと努力はしているが、40年、50年も世界のおもちゃを作ってきたインフラがある中国と同じようにはいかないだろう。当社としては、努力はするが、もし安い商品が作れなくなれば、その時は価格を上げるしかないと考えている。売れなくなれば以前のようなガレージキット店に戻ればいい。我々は自分たちの納得できるモノ作りさえできればいいという考えで、会社の規模も拡大せず、社員数40人でずっとやってきた」

「造型集団」としてのこだわり

―では、中国を生産工場としてだけではなく、市場として開拓していく考えは。

「もちろん作品は中国でも売れてほしいが、そのためだけにギラギラして1、2年で結果を求めるつもりはない。チョコエッグのヒットなどで海洋堂の名前は知られるようになったが、そもそも日本でもフィギュアというのはごく一部の限られたマニアだけの世界だ。日本でもまだまだこれからなのに、中国ではアニメが流行って10年程度。フィギュアはこれから先10年、20年は掛かるとみている。また、中国に関しては、コピー問題についてよく話を聞かれるが、当社としては今のところ、中国がそういう『段階』にあるのだと焦らず構えている」

――海洋堂はあくまでも「造型集団」として創作活動を続けていく。その心は。

「海洋堂はたいへん天邪鬼な会社で、ビジネスをしなければ会社を存続できないし、ボランティアをするつもりもないが、いわゆる『ビジネス』はしたくない。ただ、造型集団としての軸はぶれないように、それだけのために自分たちは仕事をしている。論理的に分析はできないが、海洋堂の作品にはちょっと異常な部分や分かる人だけが分かるようなおもしろみがあり、モノづくりのにおいがする。それは、大きなおもちゃメーカー、模型メーカーがたくさんある中で、海洋堂が博物館を作り、展示会や展覧会を開催して成り立っていることからも分かるだろう。我々は作ることに専念し、そのほかのことは周りにおまかせし、メーカーや市場に育ててもらう、そういうやり方だ」

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展示作品1/1スケールのフィギュアの説明をする宮脇氏。2次元を3次元に再現する難しさとおもしろさを熱く語った。

「フィギュアは『絵画的な要素のある模型』だと考えている。戦車や飛行機のプラモデルのような本物を正確に縮小した模型とは違い、アニメのキャラクターなら2次元の絵を3次元に起こした時に、表情や髪型の表現など、同じキャラクターでも作り手によってまったく違ったものができ上がる。そして、その作り手である原型師(フィギュアの原型製作者)の名前を入れているのが海洋堂の特徴だ。

今回の展覧会では、おもちゃ箱に入ったみたいに、たくさんのフィギュアに囲まれてほしい。皆さんが子どもの頃に手に入れたお菓子やガチャガチャのオマケは、最初のうちは大切に部屋に飾ったりしていても、半年もすればいつの間にかなくなっている、そういうものだったと思う。だから、こういった機会はなかなかないのでは。中国の方にも今回の展覧会を通じて、自分たちのような作家集団がいることを認知してもらえればいいと思っている」

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