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業界インタビュー

SCSK上海(思誠思凱信息系統(上海)) 董事総経理 飯田洋一郎氏 – 「夢ある未来を、共に創る」 理念実現へ、働き方改革中


[ 2016-03-08 ]

SCSKは、「働きやすい、やりがいのある会社」を目指し、さまざまな働き方改革に取り組んでいる。取り組みの背景には、「夢ある未来を、共に創る」という同社の経営理念がある。では中国で、その経験をどう応用しているのか。SCSK上海(思誠思凱信息系統(上海))の飯田洋一郎董事総経理に聞いた。

Whenever BizCHINA 2016年3月号インタビュー, SCSK, 上海, 飯田洋一郎董事総経理

飯田洋一郎(いいだ・よういちろう)氏:5~13歳までをブラジルと香港地区で過ごす。SCSK入社後、欧米やアジアなど25カ国に出張しERP導入サポート業務を中心に手掛ける。6年間のニューヨーク駐在を経て、11年から上海駐在。98年から2年間、青年海外協力隊でパプアニューギニアで活動し、津波被害への支援で現地に小学校を建てたことも。

 

1.社員の志に応える

SCSKは、経済産業省と東京証券取引所から1月、社員の健康管理に経営的な視点から取り組んでいる「健康経営銘柄」に2年連続で選ばれた。また15年3月にも、女性人材の活用を積極的に進めている「なでしこ銘柄」に選ばれている。15年12月には内閣府から、「女性が輝く先進企業表彰」で内閣総理大臣表彰を受賞。15年10月には経済産業省から、長時間労働が常態化しているIT業界における働き方改革などが評価され、「情報化促進貢献個人等表彰」の「経済産業大臣賞(企業等部門)」を受賞している。

──これらの取り組みの背景は。

「SCSKは“夢ある未来を、共に創る”という経営理念のもと、“人を大切にします”という約束を掲げ、その実現に向けて“働きやすい、やりがいのある会社”作りを目指している。SCSK上海でもその理念に基づき、3つのテーマから環境改善を推し進めている」

──3つの内訳は。

「1つ目は、業務の効率化による負荷の軽減だ。各種プロセスの見直しやシステム化などに加え、決裁権限なども見直すことで、シンプル化とスピード化を進めてきた。15年の1人あたり残業時間は14年比20%削減、有給休暇取得率は14年比10%増となった。

2つ目は現地化の推進。日本人とナショナル・スタッフが一緒に経営していく会社を目指し、マネジメント層へのナショナル・スタッフの登用を進めている。当社には5つの部門があり、14年までは部長職を全員日本からの駐在員が占めていたが、15年にアプリ開発を手掛けるITソリューション部と、品質管理を担うプロジェクト監理室の部長職に、ナショナル・スタッフを投入した。

3つ目は健康増進。従来から定期健康診断とインフルエンザの予防接種の機会を会社が提供し、健康診断はほぼ全員が受けている。また、PM2.5などに備えて、空気清浄機の設置と社員全員へのマスク配布もおこなっている。空気清浄機はこの2年間で、2フロア340㎡のオフィス内に13台導入した。さらに全員にデスク設置用の小型加湿器を供給したほか、万歩計も配布し、サッカーやバドミントンなど社内スポーツイベントも定期的に開催している」

──本業面での“やりがい”づくりはどのように。

「直近の大きな取り組みとしては、15年10月にグローバル全社の社名をSCSKに変更統一した際、SCSK上海では中国語の社名を社員自身で決めてもらった(後述①)。会社の“顔”ともいえる社名を自ら決めることは、SCSKの未来像に関する社員の意思の明確化であり、意欲と責任感の両面を強化することになったと感じている。

また、事務職や営業職で採用した女性社員の中から、SEの働く姿に触発されたり、より深く顧客ニーズを理解したいとの思いから、技術部門の仕事を志すものも現れており、その志を汲み取るため、OJTや研修などを経て技術部門でも活躍してもらっている(②および③)。グローバルな業務を希望する社員にはユーラシアを横断してのシステム構築案件に取り組んでもらったり(④)、品質競争力を重視する当社の方針に共鳴して入社した社員には品質管理で活躍してもらったり(⑤)と、社員の志に応える経営を重視している」

──離職率等、優秀な社員に対するリテンション面での効果は。

「社員数は約50人で、毎年徐々に増やしてきた。離職率は年平均5%程度(※)だ」

 

※参考:新京報15年12月28日付記事によると、15年の中国の従業員離職率は平均17.7%。

 

 

2. 生身の絆がITの競争力に

“人を大切にする”ため、“働きやすい、やりがいのある会社”を目指しているSCSK上海。では実際に従業員はどのように受け止めているのか。飯田氏が先に述べた、“志ある社員”諸氏に聞いた。

 

社名を決める機会なんて、めったにない

(管理統括部科長 沈婷氏)

──新しい中国語社名の決定に携わった。

「社名をグローバルにSCSKに統一した際、中国は漢字名が必要となり、より良い響きと意味を兼ね備えた社名にするため、ナショナル・スタッフから公募することになった。社員の約半数から50案近いアイデアが寄せられた」

──“思誠思凱”の社名に込めた意味は。

「日本企業として貫きたい、顧客に対する誠実さを“誠”の文字に、そしてビジネスである以上は勝ちにいく、という闘争心を“凱”の文字に託した」

──社員自身で社名を決める、という体験について。

「社名を決める機会なんて、めったにない。最初は“本当にいいの?”と戸惑った。これに限らず、SCSKは幅広い仕事を経験する機会を与えてくれるとともに、出産・育児支援も手厚く、まだまだこの会社で働いていきたい」

Whenever BizCHINA 2016年3月号, SCSK, 上海

「前職では人事業務だけだったが、SCSKでは財務・会計・総務も担当。幅広い仕事ができて面白い」と語る沈氏

 

クライアントの問題解決に挑戦したかった

(業務諮詢部 王琴氏)

──事務職から技術職に挑戦した動機は。

「以前の勤め先では財務経理を担当していたが、SCSKはまさに財務経理のソリューションを提供している。前職の経験もあって、私もクライアントの問題解決に挑戦したいと思った。2年前からコンサルティング業務を担当している」

──土日や夜間も使って、社内外で学習していると聞いたが。

「最初はプロジェクトのユーザー・サポートのOJTから始まった。困難も多いが、先輩からのサポートでクリアしている。平日の昼間は顧客のサポートがあるので、それ以外の時間を使ってスキル習得を目指している」

──技術職を経験した感想は。

「現在2社のコンサルティングを担当しているが、個々の財務経理業務を処理するための、システムの利用法について、問い合わせを多くいただく。クライアントに適切なアドバイスができて納得していただいたとき、非常にやりがいを感じる」

 

Whenever BizCHINA 2016年3月号, SCSK, 上海

「働きやすいなど、社外での評判が良かったこともSCSK入社志望動機だった」という王氏

 

営業経験×ユーザー視点で、提案力アップ

(業務諮詢部兼新規事業推進部 朱懿丞氏)

──営業職から技術職を志望した理由は。

「SAPのAMO(システムの運用保守の受託サービス)を主力商品として展開していこうという営業部の方針が決まったとき、どちらも取り扱った経験のない私が良い仕事をするには、まずクライアントの気持ちを理解しなければと思った。そのために、営業と兼務で実際に運用保守業務を手掛けたいと志望した。15年1月からOJTを受け、3月から初歩的な業務を担当している」

──営業経験の成果で、迅速な回答や平易な言葉での説明など、顧客とのコミュニケーション能力に秀でた技術サポートが好評、と聞いている。

「技術畑ではないので、難しいことはたくさんある。クライアントに喜んでいただけたりといった手ごたえを得られるのは、まだこれからだ。私は文学部出身で、ITは日本本社入社後5カ月間の研修で初めて学んだが、現場の先輩の教育への熱意は非常に強かった。SCSK上海には3年前に配属されたが、周囲のエンジニアが技術を教えてくれるし、困っていると助けてくれる。日本本社の文化は上海にも根付いている」

Whenever BizCHINA 2016年3月号, SCSK, 上海

営業職から技術職にチャレンジ中の朱氏。SCSK上海初、日本本社でも非常に稀なケースという

 

ロンドン、シンガポール、東京に出張対応

(IT諮詢部部長付 郭斌氏)

──ユーラシアを横断する日々を送っている。

「今担当しているのは、ワークフロー・システム。クライアントが最初に導入したのは中国だったが、その後グローバル展開に合わせ欧州、アジアにも導入された。SCSK上海のノウハウが必要な局面も多いため、私が各国に出張サポートすることになった」

──今の業務は、入社の動機と合致しているか。

「前職ではシステムの制作業務を手掛けていたが、クライアントの生の声を聞きながら、要件定義などシステムのあり方を決めていく“上流工程”に挑戦したかったのでSCSKに転職した。今の業務は、それをさらに日中英のマルチ言語でさばく難しさも加わるので、スキルアップの貴重な機会になっている」

Whenever BizCHINA 2016年3月号, SCSK, 上海

「日英は話せても中国語は話せない人、中英は話せても日本語は話せない人…ロンドンの会議は刺激的だった」という郭氏

 

品質重視の経営姿勢に共鳴

(業務諮詢部部長付 鮑敏氏)

──品質管理業務の内容は。

「日本本社と同水準の品質を保つため、社内部署でありながら第三者機関的に各プロジェクトをチェックするのが役割だ。具体的には各プロジェクトについて、QCD(クオリティ(品質)、コスト(収益性)、デリバリー(納期))を毎月チェックしている。チェックは日本本社の規定をベースに、上海の固有事情を加味しながらおこなう。引き合い段階から提案、契約、要件定義、設計開発、納品までの全プロセスが対象だ」

──SCSKで働いた感想は。

「入社したのは08年。IT業界で十数年間働いてきた。中国では案件獲得に熱心なあまり品質は後回し、という業者も少なくないが、SCSKは品質重視の姿勢が徹底しており、自分にとっても大きな成長の機会になっている」

Whenever BizCHINA 2016年3月号, SCSK, 上海

「品質重視のSCSKの方針は、自分の成長にもプラス。充実の日々を送っている」と話す鮑氏

 

──5人の話を聞いたが、ITというシステム的なイメージと対照的に、OJTでの技術伝承など生身の人間関係が濃密という印象を受けた。

飯田氏「有形の製品で差別化できる業界と異なり、ITは人が競争力の源泉となるため、“人を活かす”というマインドが醸成されやすい。当社の理念と社風を大事にしながら、人が力を発揮できる経営で、マーケットに価値を提供していきたい」

 

SCSK上海(思誠思凱信息系統(上海))

住所:上海市浦東新区世紀大道100号上海環球中心10階

TEL:021-6146-1888

Web:www.scsksh.com

 

 

 



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