中国ビジネス情報誌 Whenever BizCHINAから、お役立ち現地情報を発信中

※掲載内容は全て、誌面掲載時の情報です。

 
about_us
業界インタビュー

乃村工藝建築装飾(北京)董事総経理 須藤竜哉氏 – 人材ボーダレス化時代へ向け, 現地化推進中


[ 2016-05-06 ]

空間設計・施工を手掛ける乃村工藝社中国法人・乃村工藝建築装飾(北京)は、マネジメント層の現地化を推し進めている。商業施設や企業・文化施設関連を対象に、販促・集客のための空間づくりをワンストップで提供しているが、中国経済に占めるサービス産業の比重が高まる中、より現地ニーズへの訴求力を高めるため、ナショナルスタッフの育成・登用に力を注いでいる。3月に董事総経理に就任した須藤竜哉氏と、日中出身のマネージャー諸氏に話を聞いた。

China 2016年5月号, 巻頭インタビュー, 乃村工藝建築装飾(北京), 董事総経理, 須藤竜哉氏

須藤竜哉(すどう・たつや)氏:2008年2月入社、10年より中国駐在。14年事業総部長に就任、16年3月より現職。

 

1. ノムラマインド共有する仲間を世界に

乃村工藝社は1892年創業。1942年に株式会社に改組し、54年の第1回全日本自動車ショー(現東京モーターショー)の会場、70年の日本万国博覧会や85年のつくば科学万博、2005年の愛知万博におけるテーマ館等主要パビリオンなどを受注してきた。05年に東京証券取引所市場第一部に株式上場。中国には04年、日系大手エレクトロニクス・メーカーの施設のデザインを手掛けたことを機に進出した。
──貴社の差別化ポイントを。
「乃村工藝社の原点は、大正時代の菊人形の舞台装置制作にある。単なるデザインではなく、人に感動を与える空間演出こそが本領だ。
業務面での特徴は、調査・企画・コンサルティングから、設計・施工、メンテナンスをはじめとした運営管理まで、ワンストップでサービスを提供していること。
中国においては、空間設計・施工会社は一般的に、商業施設や企業・文化施設など、それぞれの専門分野に特化していることが多いが、当社はそれらの分野を横断的にカバーしている。後者の強みを生かすため、2016年からは商業施設と企業関連それぞれに特化した専門チーム制へと組織改革をおこなった。中国ではさらに、固有部門である貿易部門も備えており、3部門体制となっている。貿易部門とは、中国の協力工場で製造・加工した家具や資材の日本とその他の国への輸出を手掛ける部門で、6年前に立ち上がった」
──中国事業の業績や成長率は。
「売上高は、特に2010年の上海万博以降に大きく成長し、5年前から年平均で約10%の増収がつづいている。現在の顧客比率は日系60%、欧米系35%、中国系5%となっている」
──現地化を進める理由は。
「第1の理由は、中国社会の変化に伴い、現地ニーズをより深く理解し掘り下げる体制づくりが必要となったこと。15年、中国のGDPに占める第三次産業の比率が、初めて50%を突破した。より付加価値を重視する産業構造・市場へと変化している。商業施設の空間デザインにおいても、集客・販促の仕掛けづくりが今まで以上に求められるようになってきている。こうしたニーズに対応するには、現地人材の育成・登用が不可欠と判断した。現在、中国法人には北京と上海合わせて77人の社員がいるが、日本人の数は7人と、2年前から半減した。人事・財務・経理などの管理部門と、営業部門では、16年から新たにナショナルスタッフを責任者に起用した。3年後には、登用したナショナルスタッフの中から、総経理を誕生させることも視野にいれている。
第2の理由は、では2020年の東京五輪、22年の北京冬季五輪といったターニング・ポイントとなり得る時期のさらに先、市場は・我々はどう変化し得るのかといった、自己変革の議論と気運が社内で高まってきたこと。過去の延長線上ではなく、異なる時代と社会で生き残り成長するためのひとつの答えが現地化だった。つまり単なる権限委譲ではなく、日本で培ったノウハウやマインドを共有する仲間づくりを日本人の役割と位置づけ、世界に“ノムラマインド”を持つ仲間を開拓していく。どこの国でも働ける・稼げるボーダレス人材へと、我々ひとりひとりが進化していくことを、より根源的な目標としている。
そして第3の理由は、中国系クライアントの開拓強化だ
──マインドを伝えるための方策は。
「“やって見せ、行って聞かせ、させてみせ、ほめてやらねば人は動かじ”との古人の格言に従い、現場で自ら手本を示し、ヒントを与え、試行錯誤させている」

 

2. 気づきと感銘が生む、成長と覚悟

ナショナルスタッフの育成・登用と、ボーダレス人材への成長を目標と位置づける乃村工藝建築装飾(北京)。では、今マネジメントを担っている社員は、その過程でどのような経験と発見を得ているのか。各人に聞いた。

 

①“歓びと感動”中国でも

(董事副総経理・管理総部総部長 楊雪氏)
──入社のきっかけは。
「当社の前人事部長が以前の職場での同僚だったので、乃村が社員を大事にする会社であることなどを聞き、魅力を感じていた。2013年に入社した」
──副総経理の要職を担っている。
「前職では財務担当だったが、乃村では総務、人事、管理、そして経営まで任せてもらい、たくさんのことを吸収できた。営業や制作と異なりプロジェクトに関わることはなかったが、乃村北京設立10周年の記念イベントでは、協力会社やクライアント、日本本社からのゲストを招いての式典の企画・実行という表舞台の仕事ができて、やりがいを感じた」
──将来の目標を。
「日本本社での研修のとき、“せっかく中国から来たのだから、より乃村について理解してもらえるように”と、かつて乃村が手掛けた菊人形の舞台装置を、細部まで見学させてもらえた。“歓びと感動を提供する”というノムラマインドの原点、匠の技に感動するとともに、同じ感動を中国でも広めていきたいと思った。そのためにも、経営職として仲間たちをしっかりサポートしていく」

China 2016年5月号, 巻頭インタビュー, 乃村工藝建築装飾(北京), 楊副総経理

「目の前の仕事をこなす担当者から、皆を見守る経営職へ。もっと多くのことを吸収し、仲間たちを支えていきたい」と責任感に燃える楊氏

 

②主体性と責任感を引き出す

(事業総部総部長 吉田有佑氏)
──業務内容は。
「営業業務と制作業務、つまり売上と利益を生み出す業務を担っている」
──中国勤務で得られた経験は。
「1999年入社、2010年に中国勤務となった。赴任当時は日本式の仕事のやり方にこだわっていたが、今では中国式を主体にしながら、日本式の長所を上手に組み合わせるよう心がけている。まずナショナルスタッフに“どういう風に進めようか”と意見を聞き、要所要所で助言することで、彼らに主体性と責任感を持って行動してもらえるようになった。また、日本勤務時よりも広範な業務をひとりで担う必要があり、キャッシュフローを含めた経営的な視点を学ばせてもらっている」

China 2016年5月号, 巻頭インタビュー, 乃村工藝建築装飾(北京), 吉田氏

「人は自分の意見が採用されたと感じれば、責任感を持って実行してくれるということを学んだ」と振り返る吉田氏

 

③チームワークの力を実感

(商貿部部長 張杰氏)
──中国法人特有の貿易部門を率いている。
「日系・中国系合わせて約20社の協力工場に、店舗などで使う建材や家具、什器などを発注し、生産から物流まで管理している。日本の東北大学に留学し、中国の貿易会社の歴史をテーマに卒論を書いたが、まさか貿易業務に携わるとは予想していなかった。原点に返ったように感じている」
──乃村入社のきっかけは。
「ラグジュアリー・ブランドの内装現場での、日本人現場監督の通訳のアルバイトとして採用されたが、当時の総経理に勧められて入社した。2012年のことだ」
──今では部長だ。印象的だった経験は。
「あるカフェの内装施工を手掛けたとき、通常は1~2人でおこなう業務だったが、このときは難航して10人のスタッフが投じられた。目的を共有して大勢が動いたとき、チームワークが生み出す力の大きさを体感した。自分の考えを周囲に伝え、理解してもらい、みんなの力を引き出せるよう、マネージャーとして成長していきたい」

China 2016年5月号, 巻頭インタビュー, 乃村工藝建築装飾(北京), 張氏

「スキルとメンタル両面を鍛えて、みんなのチームワークを引き出せるマネージャーになりたい」と意欲を示す張氏

 

 ④乃村に骨を埋める覚悟で

 

(CC事業部部長 王宇紅氏)
──入社の動機は。
「10年前、自分の専門であるデザインの仕事を探していて、乃村と出会った」
──印象的だった体験は。
「入社当初、当時の総経理とともに日系大手エレクトロニクス企業の案件に携わったが、総経理自ら現場に張り付いて、現場スタッフとともに、ドアひとつにまでこだわって細部まで丁寧に仕上げていく姿勢に感銘を受けた。乃村北京のスローガンに“睿工技藝”という言葉があるが、チームプレイの中で各自の長所を生かして仕事をし、クライアントと自分たち双方が納得できる仕事づくりを目指すプロフェッショナルな姿勢を学ぶことができた」
──今後の目標は。
「乃村北京が日本本社のように100年企業になれるよう、骨を埋める覚悟で仲間と一緒にがんばっていきたい」

China 2016年5月号, 巻頭インタビュー, 乃村工藝建築装飾(北京), 王氏

「乃村北京を、日本本社と同じく100年企業に育てたい」と意気込みを見せる王氏

 

⑤日本で気づかなかったこと

(CC事業部副部長 杉村宣哉氏)
──CC事業部とは。
「展示会ブースやショールームなど、クライアント企業の販促空間に関する企画から設営、演出、運営までを担っている」
──中国と日本の違いは。
「日本ではあり得ないトラブルも起きるので最初は戸惑ったが、今では考え方が変わった。日本では以心伝心というか、伝えなくても汲み取って補ってもらえることが多々あるが、生い立ちも価値観もずっと多様性に富む中国の仲間と仕事をやり遂げるには、“伝えなければ”という意識を強く持つことが必要となる。本当は大事なことが、むしろ日本にいたときは気づけていなかったのだと悟った」
──今後の目標は。
「中国のみんなはすごくパワフルで前向き。そういう仲間たちと、もっと魅力的な空間を創り上げていきたい」

China 2016年5月号, 巻頭インタビュー, 乃村工藝建築装飾(北京), 杉村氏

「違う国の仲間と仕事をするからこそ、“伝える”ことの大切さを学べた」と語る杉村氏

 

乃村工藝建築装飾(北京)
住所:北京市朝陽区酒仙橋路2号01商務楼306室
TEL:010-6566-7840
Web: www.nomuradesign.cn (乃村北京),  www.nomurakougei.co.jp (乃村工藝社)

<上海分公司>
住所:上海市長寧区淮海西路570号第8棟C7-201単元
TEL:021-6217-9567

 



人民元
 その他、為替レートは、こちらより。
やまびこ上海 ウェネバー人材 ウェネバートラベル
ウェネバーオンライン らくらくプレス