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業界インタビュー

プライムコンサルティング(中国)エンタープライズ董事長・総経理 飯高直人氏, 人材紹介業の在り方を見直し – さらなる市場価値の提供へ


[ 2016-07-19 ]

AI(人工知能)やセンシング技術、インターネットの発達は、かつては人の手が必要だった業務分野のロボット化も促し、「人間」の存在価値が改めて問い直されている。人材紹介、アウトソーシング、研修事業などを手掛けるプライムコンサルティング(中国)エンタープライズは、「人材紹介業としての使命は、働く人の未来を創り出し、顧客の人的資源を最大効率化させること」との使命感のもと、第二創業期を始動させる。日本の人材研修大手3社とパートナー契約を交わしたほか、6月には京都支社も設立。7月から人材紹介事業でも、研修・教育を絡めた新サービスを追加する。

Whenever BizCHINA, 2016年7月号, プライムコンサルティング, 飯高直人氏

飯高直人(いいたか・なおひと)氏●大手電機メーカー法人営業を経て、大手人材総合サービス会社で10年間の人材コンサルティングおよび業務設計に携わる。2006年から中国で人材コンサルを開始。11年にプライムコンサルティング(中国)エンタープライズを設立、現在に至る。専門は人事コンサル、マーケティング、業務分析、戦略立案など。在中日系企業の現地総経理のブレインとして活動中。

 

1. 人材紹介事業の“構造改革”
プライムコンサルティングは2011年に蘇州で事業をスタートした。人材紹介、アウトソーシング、研修・教育を事業の3本柱としており、香港地区に統括会社、蘇州、天津、青島、日本の京都に支社を展開している。
──創業のきっかけは。
「人材業界で10年、中国で5年間働き、中国市場でリアルな市場ニーズに応えられるサービスを提供したいと考え、起業した。当初は、中国の人材紹介会社としては後発で知名度もなかったが、大手日系クライアントの信頼を得てアウトソーシングを任せてもらえたおかげで、安定してスタートアップができた。目先の収益性に振り回されることなく、顧客利益を優先する(利他の精神)ことが、長い目で見て企業の成長につながると確信した体験だった。その確信は当社の理念となっている」
──貴社の差別化ポイントは。
「その確立が、創業から5年間の大きな課題でもあった。現在、社員数は約50人で過去最大。この5年間、日中両国の景気変動に左右されることなく事業を発展させてこられたが、“これがプライムの強み”と断言できるものを打ち出せているとは言い難かった。“自分たちが今提供しているサービスは、本当に世の中の役に立っているのか”と自問を繰り返し、到達したひとつの結論が、人材紹介事業の構造改革だった」
──その理由は。
「大きく分けて2つある。まずは企業の不祥事がつづくのを見ていて、次世代幹部候補の育成が今の社会で必要とされているのではと感じたこと。もうひとつは、我々は仲介業者として顧客にきちんと価値を提供しているといえるのか、その疑問に答えを出したかったこと。
前者に関しては、大企業でも中小企業でも必ず“創業者”がいて、その創業者には必ず最初の1件目を受注した瞬間があるはずだ、と自分もひとりの創業者として考えた。企業が不祥事を起こすということは、時の流れの中で創業者の思いが薄れてしまった結果ではないだろうか。であれば経営者の最大の使命は、社会に貢献する企業として永続するべく創業者の思いを継承し、次世代に伝えていくことにあるといえる。当社では5年の間に4人の経営者が誕生し、それぞれ思いと理念を持ってプライムグループの経営に取り組んでいるが、社内の経営者研修プログラムは私自身が作成している。また、部長職の社員をパートナー企業でもある法務コンサルティング会社に出向させ、他社の経営も学ばせている。こうした蓄積と経験を、社内のみならず市場に役立ていきたい。
後者に関しては、企業が社員を採用するのは“利益を創出するため”であるのに対し、実際に人材紹介会社が担っているのは、採用に至るまでのプロセスのごく一部である。もちろん返金制度などはあるが、根本的には“自社の資産ではないもの”を提供して対価を得る構造に課題があるといえる。よって、企業の採用ポリシー策定や採用技術の向上をはじめ、採用した人材が企業に貢献できる状態にするまでが人材紹介業が担うべき役割ではないかと考えた」

Whenever BizCHINA, 2016年7月号, プライムコンサルティング

蘇州プライム人材コンサルティングのオフィス

 

2. 人間の未来づくりが使命
人材紹介業務の構造改革に乗り出したプライムコンサルティング。日中両国で、新サービスの開始から新会社の立ち上げまで、次々とアクションを打ち出している。
──人材紹介業務の構造改革は、具体的にはどのように。
「まずは堅実に、人材紹介業のフォローサービスの強化から取り組む。仲介した人材が短期間で辞めた場合に仲介料の一部を返金する保証金制度は、業界では3カ月以内の離職が対象だが、これを期間比例式で12カ月まで返金対象とする。その代わりに、紹介した人材を1年間、毎月フォローさせてもらい、フォロー結果を必ず直属の上司や採用担当者にフィードバックさせてもらうという制度をつくった。紹介した人材にはフォローアップや教育もして、クライアント企業に貢献できるようになるまで育てる。また人材紹介時のリファレンスチェック(身元照会)も徹底強化する。
さらに7月からは一部地域で、年間2人以上の人材採用予定のある企業向けに、固定額と従量課金制を組み合わせた新しい料金プランも試行する。固定額は月額2000元、紹介手数料は年収の10%の予定だ。紹介手数料の相場は年収の30%だが、実はこの相場は50年前から変わっておらず、サービス内容自体にも大きな変化は見られない。私はそれ自体が問題だと捉え、当社が担うべき役割や価値を再定義することにした。企業側の視点で見れば、紹介料を支払ったものの、その人材が辞めてしまえば支払った費用は“死に金”になってしまう。お預かりする紹介料を“生き金”にすることこそ、私たちが目指すべきサービスだ」
──貴社の研修・教育サービスの特徴は。
「教育ニーズは企業1社ごとに全く異なる。したがって当社の教育は完全オーダーメイドで、量販型のプログラムはない。数量は限られるが最高の質を提供していると自負している。さらに15年には日本の人材研修大手、ザ・アカデミージャパン、シナプス、ディアマンテスと契約を交わし、ハイクラス人材向けに、この3社のコンテンツも提供できる」

Whenever BizCHINA, 2016年7月号, プライムコンサルティング, 提携先

日本の人材研修大手3社とも提携。左から、ザ・アカデミージャパンの川西代表取締役社長、シナプスの家弓正彦代表取締役、ディアマンテスの中鉢慎代表取締役社長


──京都支社について。
「研修・日中人材ビジネスを一段と加速させる新拠点として、6月に開業した。日本では研修は関東地方に分布が偏っているので関西を選んだが、より大きな理由は、当社の創業メンバーでもあった酒井友紀子が京都在住だから。彼女はプライムで培った人材教育ノウハウを日本でも広めたいと、13年に日本の行政機関に転職したが、“どうしても日本でプライムを立ち上げたい”とコンタクトを取ってきた。組織・チームを任せられる“人”がいる場所こそ最上の立地だというのが当社の信念でもある。中国人のUターン就職のサポートなどに加え、中国企業の日本進出サポートも視野に入れている。3年後に年商5000万円以上を見込んでいる」
──収益面での目標は。
「当社の各事業が売上高に占める比率は、人材紹介とアウトソーシングが各4割、研修・教育が2割。この比率を2020年までに均等にしたい。3つの事業分野は15年に、いずれも前年比40%の増収となった。2020年までに年間売上高5000万元を目指している。クライアント企業の国籍別の売上高比率は、現在は日系9割、中国系1割だが、2020年までに日系6割、中国系3割、欧米系1割を目指す。今は日系企業に中国人人材を紹介することが多いが、中国系企業への日本人人材の紹介も増やしていきたい」
──今後の展望を。
「ほとんどの仕事が自動化されてしまう“技術特異点”の到来が2045年ごろには訪れるという説があるが、その予兆は既に始まっている。従来の延長線上に未来はない、と考えるべきだろう。人材紹介業としての使命は、経営者から従業員に至るまで、一人ひとりの能力を最大化する能力開発を通じて、人間にとっての新たな未来を創りだすことが使命だと心得ている。そのためにもまずは我々自身が、Pressure makes diamonds(プレッシャーこそが人を育てる). の精神で、自らを高めていく」

Whenever BizCHINA, 2016年7月号, プライムコンサルティング, 研修・教育事業

量より質、完全オーダーメイドの研修にこだわる(天津プライム人材コンサルティングでの開催風景)


【プライムの経営者たち】
プライムコンサルティング創業5年間で生まれた4人の経営者。「経営者を育てる」という同社の目標の最も身近な成功例ともいえる。社員から経営者へと昇格した天津プライム人材コンサルティングの張総経理と、創業メンバーの1人でもある酒井京都支社長に話を聞いた。

Whenever BizCHINA, 2016年7月号, プライムコンサルティング

左から植田一美副総経理、酒井友紀子京都支社長、天津プライムの張国華総経理、天津プライムの趙申辰副総経理


張国華氏
──入社のきっかけは。
「日本の人材会社で6年間働いていたが、2012年に地元の天津にUターンするとき、元先輩から飯高を紹介された。互いの価値観が一致していたため、一緒に働きたいと思い入社した」
──天津支社が独立法人となり、経営者となった。
「経営の難しさを実感している。社員のときには営業して案件を獲得して、人材を紹介すればOKで、未回収金などへの危機感も乏しかったが、期限までに必要な資金が確保できなければ従業員に払う給料もなくなってしまう。お金の回り方や大切さを理解するとともに、より高い目線で会社を見られるようになった」
──天津の人材紹介マーケット事情は。
「天津の日系人材紹介会社は規模もサービスレベルもさまざま。その中で我々が心がけているのは、人材は当社の所有物ではないということ。当社の案件より、より良い案件が他社にあるならそちらを優先(利他の精神)する。人材と社会にとって最適なサービスを提供するよう取り組んでいる」

酒井友紀子氏
──プライム共同創業のきっかけは。
「人の幸せに関わる仕事が目標で、大学教師などを務めていた。飯高と会って、“人は宝”という信念と行動に共感し、目指すところが一致していたのでプライムの立ち上げに携わった」
──京都支社の目標は。
「将来的には“道徳”に注力したい。知識や技術だけでなく、人間の生き方を学ぶことができ、それが受け継がれていく場だ。また、起業家教育にも10年スパンで取り組みたい。日本の社会制度はまず組織人ありきで構築されているが、組織を飛び出して挑戦する人たちをサポートしていく」

 

プライムコンサルティング(中国)エンタープライズ
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