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業界インタビュー

アイザック代表取締役社長/藍意創貿易(上海)董事長 青木豊治氏 – 中国市場開拓の秘訣は、努力と執念 国有林木材の対中輸出にも成果


[ 2016-08-22 ]

貿易事業や上海でのウェディング、レストラン事業などを展開するアイザックは、今秋にも上海で、日本産木材などの輸入販売会社を新設する。2015年に林野庁などと提携し、日本の国有林・民有林木材の対中輸出を手掛けたが、中国内需に手ごたえを感じたことと販路を確保できたことから、中国側での受け入れ体制を整え、貿易事業の強化を図る。創業者でもある青木豊治社長は中国経済の成長力に魅せられ、20年近く中国ビジネスに取り組んできた。「中国ビジネスで成功する秘訣は、ハウツーではなく努力と執念」と語る青木氏に、これまでの歩みと今後の展望を聞いた。

Whenever BizCHINA 2016年8月号, アイザック, 青木豊治, インタビュー

青木豊治(あおき・とよはる)氏●大手貿易商社勤務を経て、1999年アイザック設立。趣味はヨットセーリングなどスポーツ全般

 

 

1. 中国系企業と共同でウェディング事業

アイザックは1999年に日本で設立。海外からのインテリア商品やメディカル商品の輸入、海外への床材の輸出などを手掛け、2008年5月に中国現地法人の藍意創貿易(上海)を設立した。浙江省金華市にある卸売市場・義烏国際商貿城日本館に床材や内装材などのショールームを開設したり、第3回上海国際ギフト展に化粧品や日本酒などを出展したりと、日本から中国への製品輸出に取り組んできた。2011年、中国企業と共同出資し、ウェディング事業にも進出した。

──創業のきっかけは。

「もともと海外が好きで、大学生時代には米国を一人旅したこともある。勤務先で東南アジア中心の貿易業務に携わり、さらに実家の繊維製品メーカーが中国に進出したことで中国が身近になり、独自に貿易の仕事にチャレンジしたいとの思いが高じ、アイザックを設立した」

──海外現地法人の設立先に中国を選んだ理由は。

「中国を訪れ始めたのは20年ほど前。当時の上海には虹橋空港しかなく、夜は市街地も真っ暗で、浦東は再開発前の田園地帯だったが、訪中するたびに発展していく姿に新鮮さと大きな可能性を感じた。日本では経験したことのなかった高度経済成長を目の当たりにしているうちに、中国市場という大海原への挑戦意欲が高まっていった」

──いろいろな事業にチャレンジしている。

「当初は食品や美容品、医療用品といった日本製品の中国市場での販売に取り組み、一定の成果を収めたが、2011年の東日本大震災が影響し、食品の輸入規制が非常に厳しくなった。ちょうどそのころ製品販売だけではなく、もっと中国人の生活に踏み込んだビジネスとして、販路の延長線上に老人介護事業やウェディング事業の可能性も模索していたので、それらを主力事業にしようと考えた」

──ウェディング事業について。

「中国系のホテル経営企業・上海金庭酒店管理(金庭)と共同で、2011年末から展開している。金庭は上海虹橋空港から都心寄りの市街地で、レストランや乗馬クラブなども備えたリゾートホテル“金庭庄園ホテル”を経営しており、ホテル内に7つの結婚式場を所有・運営している。そのうちのひとつ“VIP威尼斯(ヴェニス)”が、当社との共同所有・共同運営だ。VIPヴェニスのオープンは12年5月。2階のバルコニー部分も合わせて計46テーブルあり、500人を収容できる。結婚式のほかに企業のセミナーやパーティなどにも利用いただいており、1回の利用者数はおおむね300人前後。年間80~100件の需要がある。私自身、金庭内に住んで、金庭全体を盛り上げている」

──金庭と共同事業に至った経緯は。

「老人介護事業への進出を模索していたとき、知人から金庭の蒋佳学董事長を紹介してもらった。彼は面積6万㎡以上ある金庭庄園内で、老人ホームの経営もしていた。ウェディング事業への参入は、彼からの誘いかけによるところが大きい。印象に残っているのが、2回目に会ったその場で、共同事業の仮契約書へのサインを求められたこと。当社からの出資額は当時のレートで約5000万日本円だった。共同事業の資本金総額のごく一部ではあったが、中国内での起業には日本の銀行からの信用が薄く、全額融資は受けられない。そこで知人の間を回って提案したら、予想以上に興味を持ってもらえて、私募債で5000万円の大半を調達できた。そこで思い切って、半金を本契約前に出資したことで、蒋董事長からも信頼を得ることができた」

Whenever BizCHINA 2016年8月号, アイザック, 結婚式場, 金庭, VIPヴェニス

金庭庄園ホテルと共同経営の結婚式場VIPヴェニス。隣接して全天候型の乗馬クラブ(トップページ写真参照)もあり、上海のブリティッシュ・スクールの授業にも利用されている。

Whenever BizCHINA 2016年8月号, アイザック, 金庭, 12 Seekies

金庭荘園ホテル内に、4月にオープンした西洋料理店12 Seekies。水鳥の泳ぐ池に面しており、白と青で彩られたエーゲ海風の内装が爽やか。シーフードを中心とした料理を振る舞う

 

2. 日本産木材を輸出

ウェディング事業で成果を収めたアイザックは、原点でもある貿易事業に再び乗り出した。日本産木材の対中輸出だ。林野庁などと提携しての輸出事業で、日本国内の関心も集まっているという。それを追い風に、16年以降の事業拡大を計画している。

 

──木材の輸出事業に乗り出した理由は。

「お世話になっている中国人の会社社長を通じて、中国政府関係者から、日本産木材の中国への輸出について相談をいただいたことがきっかけだった。アイザック日本本社の地元である群馬県の上海事務所所長から群馬県庁の林業部門や農林水産省高官に紹介していただき、そこからさらに日本の関連機関にも紹介してもらい、話が具体化していった」

──輸出事業の詳細を。

「林野庁関東森林管理局の“安定供給システム販売(※1)”のスキームで、国有林材と民有林材を輸出した。関東森林管理局、碓氷川森林組合、当社の3者で、15年10月1日から16年3月31日を期間とする協定を結び、群馬森林管理署の国有林材2000m3、碓氷川森林組合の民有林材600m3を当社が購入し、蛭間運送を通じて中国に輸出した」

──16年度の事業見通しは。

「秋をめどに、中国側にも木材の輸入販社を新設し、日本からの輸出と中国側での販売を一貫しておこなう貿易体制を構築する。15年度の取り組みは林業白書にも記載され(※2)、各方面からも興味を持っていただけたので、これを追い風に日本産の木材の輸出拡大に注力する。輸入販社は中国資本で、自由貿易区での設立を目指している」

──需要見込みは。

「16年度はまずは2万m3ほどの輸出を目指す。並行して、日本側の輸出意欲の喚起と輸出体制の整備にも取り組みたい。中国の輸入木材のうち日本からの輸入比率はわずか1%前後だが、非常に大きなポテンシャルが見込めるからだ。中国の日本からの年間の木材輸入量は約50万m3。しかし当社だけでも、年間30万m3は買いたいとの相談を受けている。中国からは10件前後、さらにロシアとカナダの公的機関からも購入の打診を受けているが、数量・金額とも日本の取扱量とは1桁違う。まずは当社自身で流木立木販売(不動産としての山ではなく、樹木だけ購入する方法)のシステムを利用して販路開拓を進める。既に5000m3ほどの民有林を提供していただいている」

Whenever BizCHINA 2016年8月号, アイザック, 木材輸出

林野庁関東森林管理局などと連携し、群馬県産木材の中国輸出も手掛けた。今後の主力事業のひとつへと育成を目指している

 

※1:需要・販路拡大が必要な国有林の間伐材等を対象に、国が製材工場や合板工場と協定を締結し、安定的・計画的に供給する「国有林材の安定供給システム販売」や、国有林と民有林が連携して原木の安定供給体制づくりを進める「民国連携による安定供給システム販売」などの制度がある。

 

※2:「平成27年度森林・林業白書」P182

 

 

3. 義理堅い中国社会

日本企業が食い込むには

消費大国としての中国に注目が集まり、日系企業も市場攻略策を進めている。木材輸出や、ウェディング事業という中国人の生活に踏み込んだサービスで成果を上げているアイザックだが、中国社会に食い込むためには何が必要か。

 

── “中国という大海原”に挑戦した手ごたえは。

「結論から言えば、中国の風土は私に合っている。

金庭とウェディング事業での提携に際して本格的な契約書を作成したとき、依頼した中国人の弁護士は、私に一方的に有利な内容で作成した。“これで金庭が納得するのか”と疑問を投げかけたら、弁護士は“私の仕事は(金庭との)契約を成立させることではなく、あなたを守ることだ”ときっぱり答えた。その一途な誠実さはうれしかったが、これでは金庭側が受け入れないだろうと思って商談に臨んだところ、金庭からは2~3カ所直されただけでサインしてもらえた。前述の出資の件で、蒋董事長から信頼を得ていたのが大きかったのだと思う。蒋董事長からはその後も、有力な事業家を何人も紹介してもらったり、ビジネス上の助言をいただいたりと、何かにつけて助けてもらっている。

中国ビジネス界は確かに人脈社会で、紹介、紹介、紹介で成り立っており、親友になれなければビジネスが成立しない。しかしだからこそ、ひとたび信頼関係が成立すれば、非常に義理堅く助けてもらえる。“義”の精神では日本人以上といっても過言ではないだろう」

Whenever BizCHINA 2016年8月号, アイザック, 金庭, 蒋董事長

上海市閔行区で割烹料理店“新風和彩 天豊”も営んでいる。来店客の8割ほどが中国人。青木氏と一緒にいるのは、金庭の蒋董事長

──中国市場に食い込む方法が、これまで以上に日本企業の関心事となっている。

「私の経験上、必要なのはハウツーではなく“努力と執念”だ。中国の事業家たちは皆、人をしっかり見ており、本気度が常に試されている。また、中国の人々は合理的な思考能力が発達している。決断が速いといわれるが、思いつきで決めているのではなく、常日頃から考えに考えてチャンスを待っているからこそ、機が到来したときに即断即決できる。日本人が彼らから学べることは決して少なくない。

強いて方法論を挙げるなら、中国で暮らして活躍している日本人を、もっと真剣に活用することだろうか。実は木材の輸出の話を日本に持ち帰ったとき、(上海でのビジネスの実績にもかかわらず)最初は誰にも取り合ってもらえなかった。動きが起きたのは、群馬県上海事務所所長の紹介を得てからだった。中国で成果を上げても評価しようとしないムードが日本を覆っているのを感じた。しかし一般論として、習慣も文化も制度も異なる異国で成果を上げるのは、自国で成果を収めるより難しい。異国で暮らし、働き、成果を上げた人々を公正に評価して活用することが、日本企業のグローバル競争力を高める第一歩ではないだろうか」

 

──今後の事業展望を。

「ビジネスパートナーが既に老人ホームを経営している事が大きいが、投資と物販を軸に老人介護事業への参入を考えている。最初にやりたかった事業であり、中国高齢者産業の2016年度潜在消費予測でも5兆元産業となっており、今後も伸びが見込める。

中国市場でビジネスをする場合、広告宣伝も含めて巨額の資金が必要となるが、当社には今までの中国ビジネスの実績を評価して頂き、中国および海外の投資ファンドから話も来ている。中国市場への販売出口を作るためにも、日本人でありながら中国式のビジネススキームを構築し、資金を擁して勝負してみたい。日本の行政とも今まで以上に緊密に連携し、チームJAPANとして中小企業でも中国市場を席巻できることを証明したい」

 

藍意創貿易(上海)

住所: 上海市長寧区協和路99号2幢102室

TEL: 021-6225-3385

Web: http://aizacc.com/

E-mail: info@aizacc.com

 

 

 



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