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業界インタビュー

上海太瑶自動化科技 董事・総経理 加藤康寛氏 – 自動化ニーズ増加中, 納期と技術力でリピート受注も


[ 2016-09-23 ]

経済成長が減速する中、自動化ニーズは盛り上がりを見せているようだ。金型や自動化機械の開発メーカー・タイヨーアクリスの現地法人上海太瑶自動化科技の加藤康寛董事・総経理は、「自動機の引き合いは非常に多い」と手応えを語る。同社の2016年の受注件数は15年比1.5倍で推移している。市場競争が激化する中、同社では技術・品質だけでなく納期厳守やアフターサポートの面でも差別化を進めている。直近で手がけた、パナソニック デバイスSUNX中国現地法人の自動機の事例も交えて話を聞いた。

Whenever BizCHINA 2016年9月号, タイヨーアクリス, 加藤康寛氏

加藤康寛(かとう・やすひろ)氏 1997年摂南大学機械工学部卒業、同年トステム入社。日本電産シンポを経て、2006年より現職。

 

1. 安定的かつ継続的な需要

タイヨーアクリスは2007年、電機・機械メーカーの太陽機械工業の電機事業部が分社独立して設立。09年に京都テクニカの自動機開発部門を譲り受け、自動機事業にも進出した。12年7月、100%出資子会社の現地法人として、上海太瑶自動化科技(以下、タイヨーアクリス)を設立した。タイヨーアクリスは精密金型設計製作、精密プレス加工、精密成型加工、自動機やFA機の設計・開発・製作・メンテナンスなどを手掛けている。

──中国での自動機の需要動向は。

「引き合いは非常に多い。原因は人件費の高騰と、製造現場の労働力不足だ。後者については、特に若年層を中心に工場での作業を敬遠する傾向が強まっており、募集しても求職者が集まらない状況になっている。一方で労働市場の流動性は依然として高く、人の入れ替わりに伴う作業レベルの低下を避けるため、機械化で品質を安定させようとする需要も強い」

──受注状況は。

「2016年の受注実績は、7月半ば現在20件ほど。すでに下期の引き合いもいただいているので、件数ベースでは前年比1.5倍を見込んでいる。1年前は1件200万元に達する依頼もあったが、そうした大型案件は今ひと段落し、1件40万~50万元の案件が数多く寄せられるようになっている。リピーターも増加し、安定的かつ継続的にオーダーが入ってきている」

──市場競争は激化しているか。

「市場の拡大を受け、地場系メーカーの新規参入も含めて雨後の筍のように自動機メーカーが現れては淘汰されている。やがては実力のあるメーカーが生き残っていくだろう。地場系メーカーの多くは価格競争力を強みとしているが、技術や品質は未熟だ。また、性能や品質だけではなく、納期やアフターサポートといった信頼性・安心感も重要な差別化要素となる。

ただ、地場系メーカーも技術力の向上を目指して、先進諸国の優秀な技術者の獲得に注力している。日本のリーディング企業などから流出した技術者が採用されていくと、彼我の技術力の差も急速に縮まる可能性があるだろう」

──貴社の差別化の取り組みは。

「前述したような技術、品質、納期、アフターサポート、いずれをとっても絶対負けない自負がある。また、当社は中国では自社工場は持たず、協力工場で生産をおこなっているが、生産現場には日本人技術者を常駐させ、構想段階から(自動化の経験が豊富な)日本のアイデアを反映させるようにしている。自動機は基本的に完全受注生産なので、最初から100点満点の製品を造るのではなく、70~80点の状態で納品したあと、顧客との緊密なコミュニケーションのもとで調整していく必要があるが、最初の納品段階で70~80点の域に達する技術力と、そこから100点に近づける調整力が腕の見せ所となる。当社は技術力はもちろん、アフターサポートも造った技術者自身が手がけることで、より掘り下げた、きめ細かな顧客貢献を追求している」

──市場開拓の方策は。

「どのような作業を自動化できるのか分かりやすく伝えるため、デモ機を開発した。ロボットアーム、画像処理機、ロードセル(外部からの荷重を計測するセンサー)、各種制御機器を組み合わせたもので、デモ内容はワーク(加工対象物)を厚みに応じて別々のコンベアに分別するというもの。ワークは人の目で区別しやすいよう金と銀に塗り分けてあり、厚みに0.1mmの差がある。

分別プロセスは、①コンベア上に雑多にワークを配置 ②画像処理機でワークの位置を判定してロボットアームがピックアップし、分別装置にセット ③サーボモーターを使ってワークに圧力をかけ、ロードセルでトルクを検出し厚みを計測 ④計測後、厚みによって異なるコンベアに分けて流す──だ。今回は分別作業に特化しているが、ピンの圧入(加工や組立などの作業)もできる。展示会などで、自動化の説明や当社技術のPR策の一環として活用していく」

Whenever BizCHINA 2016年9月号, タイヨーアクリス, 自動化, デモ機, 自動機

デモ機全景

Whenever BizCHINA 2016年9月号, タイヨーアクリス, 自動化, デモ機, 自動機

①雑多に置かれた金・銀2種類のワークをピックアップ

Whenever BizCHINA 2016年9月号, タイヨーアクリス, 自動化, デモ機, 自動機

②ワークの位置は、画像検査機で判別

Whenever BizCHINA 2016年9月号, タイヨーアクリス, 自動化, デモ機, 自動機

③厚み分別装置にセット

Whenever BizCHINA 2016年9月号, タイヨーアクリス, 自動化, デモ機, 自動機

④厚み別に所定のコンベアに流す

 

──今後の事業展望を。

「3~4年前にまいた種が芽吹き始め、安定した受注を確保できているが、協力工場の生産キャパシティが限界に近づいている。協力工場を増やし、日本人技術者も増強して、生産体制の拡充に取り組む。2015年の売上高は1000万元だったが、16年は1500万元を目指す」

 

2. 事例-松下神視電子(蘇州)の場合

タイヨーアクリスが最近手がけた案件のひとつが、FA機器メーカー、パナソニック デバイスSUNXの中国現地法人・松下神視電子(蘇州)(以下、PIDSX蘇州)の新型センサの最終検査機だ。PIDSX蘇州からの受注は3機種目となり、タイヨーアクリスの重要なリピート客の一社となっている。

 

中国で考え、造り、売る

PIDSX蘇州は2002年設立。中国におけるFA(ファクトリーオートメーション)機器事業の拡大拠点として、センサ、ライトカーテン、PLC(Programmable Logic Controller=自動機制御用のマイクロコンピューター)、画像処理機、レーザーマーカなどの商品群を、中国現地で企画、開発、製造、販売、アフターサポートまで一気通貫で手がけている。

日本で開発した製品を中国市場に展開するだけでなく、中国市場向け製品を中国現地で開発していることが特徴で、日本などでは販売していない中国市場固有の製品も数多い。中国では顧客ニーズの変化が速いため、スピードに追従してニーズを満たすことが重要とのことから、PIDSX蘇州では、製品を中国で考え、中国で造り、中国で売るという3つの基本を徹底している。また、人材の現地化が進んでいるが、製品の企画開発や新製品の生産現場などには日本人スタッフも加わり、日中双方のアイデアや知見の活用を図っている。

中国で安く造り日本に出荷、ではなく、中国での内販拡大に主眼を置いた事業体制を構築してきたことから、PIDSX蘇州では中国市場の売上を順調に伸ばしている。

人件費高騰などから需要は伸びも大きく、中でもスマートフォン関連装置、二次電池(充電式電池)製造設備関連、電子部品製造設備、自動車部品製造装置のFA機器需要が伸張している。

 

日本人技術者の常駐も利点に

今回、タイヨーアクリスがPIDSX蘇州向けに手がけた自動機は、ファイバセンサFXシリーズの新機種FX550の製造ライン用最終検査機。ファイバセンサとは、レーザの発光部分と検出部分を備えたアンプに光ファイバを取りつけたセンサのことで、通常のセンサ本体を設置できないような狭い場所でも、光ファイバを延長するだけで使用できる利点がある。

FX550は16年2月に発売した。機種FX-550の特徴は、検出距離が従来の1.6倍になっていることと、外乱光対策モードを装備し、設置環境下にLED照明があっても誤動作を軽減できること。

例えば、電子部品製造設備では、部品の通過有無・表裏判別などで使用されており、また自動機及び加工機では、部品・製品の位置決めなどに使用されている。この他にも各種設備で幅広く使用され、発売以降順調に販売を伸ばしている。

PIDSX蘇州では品質第一主義の徹底から全数検査を全機種実施しているが、検査項目が複雑かつ多岐にわたるため、品質、コストの観点からも自動化が必須となる。このため自動化に際しても機構が複雑化するので、高い技術レベルが要求されるが、PIDSX蘇州の仕様書をもとにタイヨーアクリスが開発・設計・製造した。

タイヨーアクリスは中国で流通量の多い日系メーカーの部品を用いることで納期の短縮化を図った。

同設備では、最終検査機に自動化技術を取り入れた。

FX-500(デジタルファイバセンサ)とファイバヘッドを組み合せ、部品の組み付け忘れを検出したり、治具への製品セットを確認できるようにした。また、PV200(画像処理機)を使用し、7セグメント表示の点灯を確認。これらの機器を制御するPLCなど各種構成ユニットにパナソニックデバイスSUNX製品を使うことで、通信仕様を含めた仕様を統一し、現場作業員の取り扱い指導の効率化も図った。

また、品質管理の観点で、2次元コードをPD60(2次元コード読取センサ)にてシリアルと検査記録を紐付けて記録することで、トレーサビリティを実現した。

「タイヨーアクリスに日本人技術者が常駐しているのも大きな助けになる。一度出来上がったものを継続的に改善していくのは日本人の得意分野だが、そうしたアフターサポートを中国でも同様に受けられるからだ。今回の自動機でも、FX550の量産移行後も必要なサポートを速やかに提供してもらっている」(PIDSX蘇州担当者)と、タイヨーアクリスへの信頼は厚い。

Whenever BizCHINA 2016年9月号, タイヨーアクリス, FX-550, 最終検査機, パナソニックSUNX

FX-550の最終検査機

Whenever BizCHINA 2016年9月号, タイヨーアクリス, FX-550, パナソニックSUNX

検出距離を伸ばし、誤動作を減らした新型センサFX-550

Whenever BizCHINA 2016年9月号, タイヨーアクリス, FX-550, パナソニックSUNX

センサ本体を設置できない狭い場所でも、光ファイバを延ばしてセンシングできるファイバセンサ。画像は、電子部品の通過検知作業のイメージ図

Whenever BizCHINA 2016年9月号, タイヨーアクリス, FX-550, パナソニックSUNX, 画像処理機, PLC

FX-550最終検査機には、画像処理機(上)やPLC(下)など各種構成ユニットもパナソニックデバイスSUNX製品を活用

Whenever BizCHINA 2016年9月号, タイヨーアクリス, FX-550, パナソニックSUNX

上海太瑶自動化科技

住所: 上海市長寧路1027号 上海多媒体産業園37楼

TEL: 021-6125-3901

Web: www.shanghaitaiyo.com

E-mail:  yasuhiro_kato@taiyoaquris.co.jp

 



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