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業界インタビュー

BizCHINA 2016年10月号, 野村綜研(北京)系統集成 基盤システム事業部クラウド事業統括リーダ 森川 貴康氏 – パブリック・クラウドAWS導入支援サービスを推進


[ 2017-01-07 ]

野村総合研究所グループの野村綜研(北京)系統集成は2016年、パブリック・クラウドのAWS(アマゾン・ウェブ・サービス)の導入支援サービスを開始した。日本でユーザーが多いAWSの導入支援で、企業のグローバルなシステム統一化需要に対応を図る。導入前のコンサルティングからシステムの設計構築、運用保守までワンストップで手がけ、北京や上海にセキュリティ・チームも常駐させている。システムの稼働状況を管理する自社開発のプラットフォームも特徴だ。サービス・チームを束ねる森川貴康氏に話を聞いた。

Whenever BizCHINA 2016年10月号, NRI北京系統集成, 森川貴康氏, インタビュー, AWS, 導入支援

森川貴康(もりかわ・たかやす)氏●2010年野村総合研究所に入社。日本での金融系基幹システムのシステム構築・エンハンス、AWSクラウド導入支援などを経て、2015年より現職。

 

1. コスト削減ニーズに対応

野村総合研究所(NRI)は、中国・アジアでコンサルティング・サービスおよびシステムの構築・運用、ERP、BPOなどのITソリューションを提供し、中国・アジア地域での「第2のNRI」の実現を目指している。野村綜研(北京)系統集成(NRI北京)はその一環として、中国におけるITソリューション需要の高まりを受け、2002年に設立された。グローバルサプライチェーンマネジメントや情報セキュリティサービスなどを手がけており、前者においては01年のサービス開始以来、90サイト以上での導入実績がある。05年には上海分公司も立ち上げた。

 

──パブリック・クラウドの利点とは。

「クラウドには、ユーザー自身でサーバーを購入・占有してITソリューションを利用するプライベート・クラウドと、外部のサーバーからサービスとして利用するパブリック・クラウドの2形態がある。

プライベート・クラウドの場合、一般的にサーバーの購入が前提となるので周辺設備を含めて多額の初期投資が必要となり、ピーク利用時に合わせた規模や台数を調達しなければならないのでリソースの無駄も生じる。実際にサーバーを稼動させるまでの時間も長い。一度購入したサーバーのスペック(処理能力やOS)を変更することは難しいが、最初から高スペックのマシンを調達すると購入コストも膨れ上がる。

それに対し、サーバーを所有しないパブリック・クラウドは初期投資を大幅に低減するとともに、業務量に応じてサーバーの利用台数を調整できる。契約から数分でリソースを利用できるようになり、スペックの変更も容易だ」

──中国におけるパブリック・クラウドの浸透状況は。

「中国系企業は積極的に導入を進めており、システムを大規模にパブリック・クラウド化することも多い。事業環境が短期間で大きく変動しがちな中国では、必要に応じてサーバー台数を調整しやすいパブリック・クラウドの利点が、特に大きく発揮されることが一因だろう。米国のITリサーチ大手Gartnerの16年1月の発表では、世界のパブリック・クラウド市場は15年、前年比13.7%成長したのに対し、中国のパブリック・クラウド市場は、中国信息通信研究院の発表では同46.0%と数倍の伸びを示している。別々の資料からの出典なので単純比較はできないが、それでも中国でのパブリック・クラウド需要の旺盛さをうかがうことができる。

一方、日系企業の場合はセキュリティ面など日本本国からの制約もあり、非基幹系システムなど比較的重要性の低い分野で導入が進み始めたところだ」

──なぜ今、パブリック・クラウドの導入支援サービスを始めたか。

「今やコスト削減は中国事業において非常に重要なファクターとなり、この傾向は今後も深まるだろう。国土広大な中国で効率よく経営をおこなう上でも、日本本社と連携する上でも、業務のIT化・クラウド化は大きな経営課題となっているが、厳しさを増すコスト事情の中、人材を含めITに割けるリソースの制約もますます大きくなっている。この状況下で、セキュリティ性に優れグローバルに共有できるパブリック・クラウドへの需要は、日系企業の間でもこの先本格化するだろう。

AWSはGartner社から5年連続で、ビジョンの完全性と実行能力の両面で世界最高のクラウド・インフラとして評価されており(※1)、ここにNRIが自主開発して20年以上改良を重ねてきた運用管理ツールSenju Familyを組み合わせることで、安全性に優れたソリューションを提供していくことができる。当社の経験をベースにした試算では、AWSの活用によって、プライベート・クラウドに対し5年間で44%の運用コストの削減が可能となる」

 

※Gartner社2016年8月3日付レポート“Magic Quadrant for Cloud Infrastructure as a Service, Worldwide”

 

 

2. 時間制課金に優れたAWS

  導入コンサルから運用保守までカバー

AWSは2013年、CIA(米国中央情報局)の情報システムにも採用され、諜報機関のクラウド化として話題をさらった。2年後の報道によると、情報セキュリティ面での評価も上々のようだ(※2)。このほか、NASA(米航空宇宙局)の火星探査システムにも導入される(※3)など、華々しい実績を積み重ねている。では、一般的な民間企業にとっては、どのような導入メリットがあるのか。また、NRI北京は在中国日系企業への導入支援にどのようなサービスを提供していくのか。日系企業に広めるには、どのような課題があるのか。

──AWSの、一般的な民間企業にとっての利点は。

「まずOSの利用に関して、1時間単位での従量課金制が徹底しているということ。オラクルやSAP、シトリックスなど欧米系ベンダーのソフトウェアに関して豊富な稼動実績があることも利点だろう。細かい点だが、オラクルはAWSから時間課金でライセンスを利用できるサービスが提供されているが、他のクラウド・システムではそのようなサービスが提供されていることが少なく、ライセンス購入が必要となる場合が多い。時間制課金の徹底は、AWSが時間単位でのサーバーの賃貸サービスから発達したことに由来する。アマゾンは自社が利用していないリソースの一部を時間単位で賃貸にまわしていたが、このサービスから進化したのがAWSだ。

日本企業にユーザーが多いことも、中国の日系企業には利点となるだろう。どのようなネットワークを構成するのか、ネットワーク上にファイアウォールをどのように設置するのかといったネットワーキングや、どの業務データをどのように配置するかといったストレージ部分に関する設計は、個々のクラウドによって設計ノウハウが異なるが、日本本社と同じクラウド・サービスを導入すれば、日本での構築実績をもとにした設計内容を流用できるため効率が良いからだ」

──NRI北京の導入支援サービスの特徴は。

「AWSの導入支援サービスは、中国でも複数の日系ITベンダーが手がけているが、当社は導入前のコンサルティングから始まり、システムの設計構築、導入後の運用保守までワンストップで提供しているのが特徴だ。また、北京と上海にセキュリティ・チームを常駐させており、セキュリティ面まで含めてトータルで運用サポートを展開することができる。

Whenever BizCHINA 2016年10月号, NRI北京系統集成, AWS, 導入支援, 運用保守, セキュリティ, システム構築, 設計

AWSの導入コンサルティングから運用保守まで、ワンストップでカバーする

 

もうひとつの大きな差別化ポイントが、高度クラウド管理プラットフォームによる運用サポートだ。顧客のシステムの稼働状況を監視するため、NRIが1994年に自社開発して改良を重ねてきた“Senju Family”という運用ツールをベースにしており、AWSの稼動状況に異常がないかを24時間体制で監視するとともに、エラー発生時の責任者への微信を含む多様な通知機能も備えている。また、ITIL(※4)に準拠したサービスデスク・プラットフォームも整えている。こうした運用支援プラットフォームを自前で保有しているITベンダーは、日本でも非常に限られている」

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NRI北京が提供するAWS導入支援サービスの全体図。中央の高度管理クラウド・プラットフォームはNRIが独自開発した監視システムで、顧客のAWSの稼働状況に異常がないかを24時間体制でチェックするとともに、異常発生時は各責任者への通知もおこなう

 

──今後の需要予測と、ユーザー開拓の方策は。

「まず、ハードウェアの保証期間やデータセンターの利用期間が満了する更新のタイミングを狙って、クラウド化を提案していく。ハードウェアの買い替えは非常にコストがかかるため、パブリック・クラウドへの移行によるコスト削減メリットが非常に大きくなる。

もうひとつは、中国社会のインフラ整備の進捗を見極めること。中国は日本に比べ、高速通信回線ネットワークが未発達で、データセンターとクラウド・サーバーの設置エリアが遠く離れている場合、データのやり取りに時間がかかるという難点がある。国土が広大な中国では企業の拠点もデータも広域に分散しやすく、クラウドによる統轄ニーズ自体は非常に大きいが、ネットワーク・インフラの未成熟がボトルネックとなっている。ただし、沿岸部では既にパブリック・クラウドのデータセンターが数多く整備されており、インフラ事情は時期が来れば急速に改善されるだろう。そのタイミングを逃さず、クラウド化の提案を進めることが肝要だ。

導入支援サービスを始めて半年強の現在、化学品メーカーや家電メーカー、輸送機器部品メーカー、流通・小売企業などから受注している。WebシステムやIoTにおける開発環境の整備、端末上での製品デモンストレーション用途など、非基幹系システムのクラウド化ニーズが中心で、サーバー台数でも1件あたり数台~数十台規模と、様子を見ながら少しずつ導入を進める企業がほとんどだ。とはいえ前述のように潜在ニーズは大きく、中国社会の変化次第では一気にブレイクする可能性もある。今後の需要目標として、サーバー台数ベースで18年末までに500台の運用を見込んでいる」

 

※2 Fortune誌2015年6月29日付記事など

※3 ITテクノロジー専門誌GCN2013年1月4日付記事

※4 ITサービス・マネジメントにおける成功事例をまとめたフレームワーク。1980年代に英国政府が公表し、現在ではIT運用に関する国際的な知識体系として活用されている。

 

野村綜研(北京)系統集成

住所: 北京市海淀区中関村科学院南路2号 融科資訊中心A座601室

TEL: 010-8286-1555

Webサイト: www.nri.com.cn/beijing/jp/

E-mail: nrib-cloud@nri.co.jp

 

 

 



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