中国ビジネス情報誌 Whenever BizCHINAとWhenever Bizpressoから、お役立ち現地情報を発信中

※掲載内容は全て、誌面掲載時の情報です。

 
about_us

ビズマガ

業界インタビュー

BizCHINA 2017年 1月号, 北京カンケンテクノ、平湖で新工場稼動 – VOCなど排ガス処理装置、現地生産強化へ


[ 2017-01-07 ]

排ガス処理装置メーカーの北京カンケンテクノは9月、平湖経済開発区内で新工場を稼動させた。中国で大型案件の受注をはじめ需要が増大していることを受け、現地生産体制を強化する。現在は分公司だが5年以内に法人化する計画で、マザー工場化も目指しており、カンケンテクノ・グループの中国事業の要を担う拠点となる。2016年1月の改正大気汚染防止法の施行で、VOC(揮発性有機化合物)対策が重点項目に位置づけられるなど、中国の環境汚染対策も進歩しており、今後の成長市場として注目も集まっている。今村浩一総経理に話を聞いた。

Whenever BizCHINA 2017年1月号, 北京カンケンテクノ, 排ガス処理装置, 平湖, 工場, VOC対策, 改正大気汚染防止法, 今村浩一, 総経理

今村浩一(いまむら・こういち)氏●1994年秋田大学卒、同年カンケンテクノ入社。設計、サービス、技術、営業、品質保証部門などを経て、2012年から現職。

 

1. 平湖工場、中国事業の要に

カンケンテクノは1978年設立。日本本社以外に台湾地区、中国大陸、韓国、マレーシア、シンガポール、タイに子会社を持つ。社員数はグループ全体で800人。中国の現地法人「北京カンケンテクノ」は、主要取引先の大手ブラウン管メーカーの中国進出をきっかけに、96年に設立した。同社の排ガス処理装置は世界で9500台以上の納入実績があり、半導体、液晶、太陽電池業界向けの電気ヒーター式およびプラズマ式排ガス処理装置は、中国大陸でも1100台以上稼働している。

 

──平湖工場開設の背景は。

「中国でのVOC処理装置の需要が非常に増大していることが理由だ。2013年には安徽省、14年には重慶で、中国系メーカーの大型液晶パネル工場向けに毎時処理量54万m3のVOC処理プラントを受注したが、この勢いは加速しており、16年には福建省で同48万m3、さらに安徽省で同67万5000m3とVOC処理業界では市場屈指の規模の処理プラントを受注した。リピート需要も好調だ。

16年1月の改正大気汚染防止法でVOC対策も強化され、蘇州のように排ガスが一定流量以上の工場には排気口に測定装置の設置を義務づけ、当局が24時間体制でオンラインによるモニタリングをおこなうほど徹底した対策に取り組む地域も出てきた。こうした環境汚染対策の進歩を背景に、日系企業からのVOC処理装置の導入ニーズも増えている。

カンケンテクノ・グループの16年度売上高は世界全体で115億円を見込んでいるが、そのうち3割を中国大陸での売り上げが占めている。これはカンケンテクノの日本国外での主力マーケットだった台湾地区での売り上げと同規模であり、17年度には大陸部の売り上げが台湾地区を上回る見通しだ。

平湖工場は、こうした潮流に対応していくための中核拠点として開設した」

Whenever BizCHINA 2017年1月号, 北京カンケンテクノ, 排ガス処理装置, 平湖, 工場

中国事業の要と位置づける平湖工場。社員による生産、駐在員によるマネジメントで、品質・効率・リードタイムの向上を追求していく

──重慶につづき中国で2カ所目の生産拠点となる。

「平湖工場は上海の南西部、虹橋空港から車で1時間ほどの距離にある平湖経済開発区内に立地しており、VOC規制が特に厳しい上海・蘇州エリアをはじめ、当社の主要マーケット各地へのアクセスに、重慶工場よりも優れている。また、重慶工場では、従業員は協力工場のエンジニアを中心に製造作業を実施し、カンケンテクノ日本本社からマネジメントしていたが、平湖工場の従業員は全て当社の社員で、日本本社からの駐在員が常駐でマネジメントをおこなう、名実ともにカンケンテクノの製造拠点だ。16年7月に分公司として開設、9月に生産ラインを稼動させた。重慶工場からは設備も含めた生産機能を移転し、平湖工場に集約させている。品質、効率、リードタイムなどさまざまな面でレベルアップが可能となるだけでなく、人材育成によって今まで以上に幅広い仕事に対応できるようになるため、さらに優れた価値をマーケットに提供していく」

──平湖工場の現在の体制は。

「床面積は重慶と同規模の約1800㎡。現在の従業員数は16人で、うち日本人が総経理を含めて3人いる。日本人のうち2人は、重慶工場のマネジメントのため日本本社から出張していたメンバーで、平湖工場の開設に伴い駐在員化した。まだまだ人手が足りないため、16年末から17年初旬までに25人体制に増強する。現在の年間生産能力は、毎時処理量2万m3の中型濃縮式VOC処理装置換算で20台だが、17年と18年に20%ずつアップする計画だ。

平湖分公司の総経理を務める櫻井守(表紙写真手前、インタビュー1ページ目左側の人物)は、今回の新工場の開設に合わせて採用した熟練エンジニアだが、平湖経済開発区に立地している大手日系メーカーで8年間の勤務経験を持ち、地元事情に精通しているため、周辺立地メーカーとの間で部品加工などの協力体制の構築にも取り組んでいる。平湖経済開発区はエレクトロニクス、鉄鋼、食品など100社以上の日系メーカーが立地する日系製造業の一大集積地でもあり、周囲との連携で得られるメリットは大きい」

──今後どのように展開していくか。

「平湖工場は現状では分公司だが、5年以内に法人化する計画だ。北京カンケンテクノが中国市場における市場開発やサービスを手がけ、平湖カンケンテクノが製造を担う構図になる。合わせて、平湖工場をカンケンテクノの中国におけるマザー工場へと発展させていく。製造部門における人材育成の中核拠点と位置づけ、今後中国国内に生産拠点を新設していく際には、平湖で育てた人員を各地に送り込むことになる。カンケンテクノ・グループの中国事業の要を担う拠点へと育てていく」

Whenever BizCHINA 2017年1月号, 北京カンケンテクノ, 排ガス処理装置, 平湖, 工場

VOC処理装置の一部。上部の四角いボックス内で吸着シリンダーによってVOCを吸着し、熱風によって脱着して燃焼室に送り込む

 

2. 固定濃縮式VOC処理装置が好調

  購買・物流部門も強化中

北京カンケンテクノは2015年、新機軸として、エネルギー消費の低減と省スペースに優れた大型固定濃縮式のVOC処理装置を市場投入した。提案開始から1年半ほど経過した現在、受注は好調で、ニーズの幅も広がっている。一方、排ガス処理装置で培った技術を生かして新たな空調機器需要も捉え始めている。中国市場の拡大を受けて、平湖工場による生産機能の強化に加え、事業体制の拡充に向けた取り組みを進めている。

──固定濃縮式VOC処理装置の需要動向は。

「この1年間で大きく伸張した。これまで業界では一般的に、毎時処理量1万m3以上の中大型VOC処理装置にはローター式を採用していた。排ガスに含まれるVOCを濃縮ローターで吸着して除去し、吸着したVOCを別ルートからの熱風で濃縮ローターから脱着、電気ヒーターなどで加温したのち、触媒室や燃焼室で熱酸化分解する方式だ。この方式では、ひとつのローターが吸着区画と脱着区画の間を回転しながら、排ガスからのVOCの吸着と熱風によるVOCの脱着を繰り返すため、各区画を密封するシール材が必要となるが、シール材の耐熱性により高温脱着ができず、除害効率に限界があった。

それに対して固定式は、複数の吸着室に排ガスを送り込むため、各区画を密封するシール材が不要で熱風をさらに高温化でき、同じ量の熱風でより多くのVOCの脱着が可能となる。より高濃度となったVOCは自ら発熱するため、燃焼に用いるエネルギーを低減できる利点もある。固定式の脱着熱風に含まれるVOC濃度は、目安としてローター式の1.5倍まで高濃度化するので、少ない熱風でより多くのVOCを燃焼させることができ、燃焼器の省スペース化にも結びつく。

毎時処理量1800m3クラスの小型固定濃縮式は13年ごろから日本と中国で採用されていたが、それを15年から同5~7万m3クラスの大型装置にも応用し始めた。15年末時点での中国での受注台数は小型・大型合わせて6台だったが、16年は現在までに20台受注している。小型・大型だけでなく、毎時処理量1~2万m3の中型需要が増えてきたのも最近のトレンドだ。最近の日系企業からの受注は、ほぼ100%固定濃縮式になっており、市場に浸透している手ごたえを感じる。さらに、中国系企業からもオーダーが入り始めており、1月には中国系顧客に中型固定濃縮式を初納入する。

また、固定濃縮式装置の技術が、別分野にも応用され始めている」

──別分野とは、VOC以外ということか。

「既に複数台を受注しているが、工場の乾燥ルーム内の除湿機だ。VOC除去のノウハウを水分の除去に応用したものだが、乾燥ルームの除湿も従来はローター式が用いられており、VOC処理装置同様、固定濃縮式に切り替えることで運用コストを3~5割ほど低減可能になる。9月に納品した1号機が好評で2号機以降も受注しており、3月までに2号機と3号機を納品する。特に低湿度を要求される乾燥室、乾燥工程には、本方式が最適であるとして、引き続き他工場からも引き合いが来ている。また今後、さらなる別分野への展開も期待ができる」

──今後の方針と展望を。

「平湖工場による現地生産体制をさらに強化するため、今まで日本本社に頼っていた購買および物流の現地化に取り組んでいる。それぞれ専門部門を立ち上げるため、人材の獲得も進めている。日本からの調達は規格の違いや通関に要する時間などの面でロスも大きく、納期短縮化ニーズに応えるためにも、コア部品以外の現地調達比率を高めていく。北京カンケンテクノの社員数は、15年末の70人から現在は100人に増強し、さらに17年も20~30%の増員を計画している。製造部門と技術サービス部門は厚みを増してきたので、購買・物流部門の強化により、中国でワンストップの事業展開ができる基盤を確立していく」

Whenever BizCHINA 2017年1月号, 北京カンケンテクノ, 排ガス処理装置, 平湖, 工場

増大する需要に応えるため生産体制の強化が進む。写真はVOC燃焼用の炎の逆流を防ぐ装置の溶接作業

Whenever BizCHINA 2017年1月号, 北京カンケンテクノ, 排ガス処理装置, 平湖, 工場

将来的にはマザー工場化を目指す。写真手前は鋼板のロール曲げ加工機、奥が鋼板切断機

 

VOC規制に重点-改正大気汚染防止法

大気汚染防止法の改正は2000年以来、実に15年ぶりとなった。中国日本商会の2月7日付レポートによると、7章66条だった旧法に対し、改正法は8章129条へと大幅に拡充された。内容面では、旧法で重きを置いたSox(硫黄酸化物)対策の経験をベースに、NOx(窒素酸化物)やVOC対策を重視。特にVOCに関しては、含有量規制を遵守した製品の生産・輸入・販売・使用を義務づけるとともに、VOCの発生を伴う活動は密閉空間でおこない、排気ガスからの除害を求めるなど、詳細な規制が設けられている。15年1月1日施行の環境保護法を踏まえて罰則も強化されている。

 

 

北京康肯環保設備

<北京本部>

住所: 北京市朝陽区東四環中路41号嘉泰国際大厦A座630室

 <上海分公司>

住所: 上海市長寧区天山路600弄1号 同達創業大厦2104室

TEL: 021-6125- 3711(担当:松島)

E-mail: s-matsushima@kanken-techno.co.jp

Webサイト: www.kanken-techno.co.jp

 



人民元
 その他、為替レートは、こちらより。

無料配送キャンペーン
やまびこ上海 ウェネバー人材 ウェネバートラベル
ウェネバーオンライン らくらくプレス